- 12月上旬の朝
治:寒いなぁ
あなた:ね!今年は雪降るかな?
治:あなた雪好きよな
あなた:うん!大好き!
治:好きなのはええけど身体冷やさんといてな
あなた:うん,ありがとう( 微笑んで )
- 昼休み
あなた:( トイレに行っていて )
沙羅:………
あなた:……あ………
沙羅:……お久しぶりですね( 微笑んで )
あなた:………ッ
沙羅:……そんな顔しないでくださいよ
あなた:……何……?
沙羅:……風の噂で聞いたんですけど
あなた:………?
沙羅:……あなた先輩って……病気なんですね
あなた:ッ………!
沙羅:……しかも……いつ死ぬかわからないんですよね?
あなた:どう……して……
沙羅:……倉庫で先輩を犯した男子……覚えてます?
あなた:ッ……!!
沙羅:……彼奴らから聞きました
あなた:ッ………
沙羅:……あの……先輩
あなた:………?
沙羅:…先輩は……治くんのことちゃんと考えていますか?
あなた:え………?
沙羅:……何でまだ付き合ってるんですか?
あなた:何でって………
沙羅:……治くん,この頃顔色悪いですよね?
あなた:ッ………
沙羅:先輩の為に医者になりたくて勉強,してるらしいですよね。あんなまだ現役バレー部なのに……
あなた:ッ………
沙羅:それに加えていつ先輩が倒れるかわからない不安と戦ってる
あなた:………!
沙羅:……先輩は……そんな無理する治くんを放っておいているんですか?
あなた:ッ………
沙羅:……それに
あなた:……?
沙羅:先輩が死んじゃったら……治くんはどうするんですか?
あなた:……え……?
沙羅:いつ死ぬかわからない人の為に医者になる勉強しているのも馬鹿馬鹿しいと思いますし
あなた:ッ………
沙羅:……治くんを置いて先輩が死んだら……残された治くんどうなっちゃうんですか?
あなた:……え…?
沙羅:……悲しみますよね?きっと…誰よりも
あなた:ッ………
沙羅:もう直ぐ死ぬかもしれない人が……人を縛る権利なんてないと思うんですけど
あなた:ッ………!
沙羅:先輩が治くんと別れたら…少なくとも医者になる必要は無くなって今まで通り部活に専念できる
あなた:ッ………
沙羅:不安に駆られる必要も無いし無理して生活していく必要が無い
あなた:ッ………
沙羅:先輩が死んでも………悲しさは減る
あなた:ッ………!
沙羅:それに早い内から別れておけば先輩への気持ちで埋まることも無いし他の相手を見つけやすくなると思うんです
あなた:ッ………
沙羅:先輩
あなた:……?
沙羅:治くんを大切に思うなら別れてください
あなた:ッ……!
沙羅:これはもう……先輩だけの問題やなくて…治くんの未来も関わってるんですよ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!