- 5階
侑:……あ……
兄:……!侑……
侑:……お久しぶりです
兄:……ああ……
侑:……あなたは……
兄:……この中だよ
侑:え……?…………!!!!
- 侑の視線の先にはガラス張りの病室
そしてその中には
酸素マスクや色々な機械に繋がれた
あなたの姿があった
侑:ッ………何で……!!
兄:昨日の帰り道……道端で倒れているのを通行人が通報してくれたんだ
侑:え……?
兄:……その時もう既に呼吸は無かったらしい
侑:ッ……!
兄:雪も降っていて身体は冷えて,呼吸が無くなってから少し時間が経った後に発見された
侑:ッ………
兄:……もう少し遅かったら……あなたを失っていたかもしれない
侑:ッ………
兄:……帰り道は治と一緒のはずだ。でも居なかったってことは…2人に何かあったんだと思って治には連絡をしなかった
侑:……別れたらしいです
兄:え…?
侑:……あなたに……別れて欲しいって言われたらしいんです
兄:あなたが……?そんな………
侑:……本心やとは思ってないです
兄:え?
侑:現に本心やとしたら……別れられたのに何でこんな発作を起こすんです?
兄:……確かに……
侑:……あなたは……別れたくないけど何らかの理由でサムに別れを告げた……
兄:……まぁ……それがいいのかもな
侑:え……?
兄:……あなたの命はいつまでもつかわからない
侑:………!
兄:……あなたも薄々感じてたんだろうな……
侑:え……?
兄:………命が削られていることを
侑:………!!
兄:……自分の身体だからね,自分が1番よくわかるんだろ
侑:ッ………
兄:……あなたは……いつ居なくなるかわからない自分が治を縛るのは許せなかったんじゃないか
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!