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2021/11/23

第48話

第47話「つかめない距離」
桜木 千春
桜木 千春
あ、チャイム鳴ったみたい
桜木 千春
桜木 千春
私、席に戻るね?
小田原 キララ
小田原 キララ
あ、うん
小田原 キララ
小田原 キララ
(どうしたんだろ?)
小田原 キララ
小田原 キララ
(さっき、なにか言おうとしてたみたいだけど……)
 千春ちゃんの変化に気づきながらも、それを確認することはできなかった。
 休み時間も、移動教室も。

 千春ちゃんは元気がなかった。
 そして、お昼休み。
小田原 キララ
小田原 キララ
千春ちゃん!
 あたしは、お弁当を持って千春ちゃんの席へと向かった。そして朝の続きを話す。
小田原 キララ
小田原 キララ
あのさ、文化祭なんだけど
桜木 千春
桜木 千春
うん
小田原 キララ
小田原 キララ
千春ちゃんは、吹奏楽部の演奏で参加するの?
桜木 千春
桜木 千春
……うん
桜木 千春
桜木 千春
その予定、だけど
 千春ちゃんは言いよどみながらカバンからお弁当の包みを取りだすと、机の上にのせた。そして、あたしに向けていた視線を、お弁当へと向ける。
小田原 キララ
小田原 キララ
じゃあ、あたし聞きにいくね?
小田原 キララ
小田原 キララ
楽しみだなー。千春ちゃんの演奏!
桜木 千春
桜木 千春
楽しみ、か
小田原 キララ
小田原 キララ
そういえば、千春ちゃんの担当は?
小田原 キララ
小田原 キララ
イメージだと、クラリネットとかかな?
桜木 千春
桜木 千春
そうだけど
小田原 キララ
小田原 キララ
すごい! いつから始めたの?
小田原 キララ
小田原 キララ
あたしは、譜面よむのも苦手なんだよね
桜木 千春
桜木 千春
私は普通に読めるよ。小さいころから、ピアノ習ってたし
小田原 キララ
小田原 キララ
ピアノも弾けるの!? 千春ちゃん、すごーい!
小田原 キララ
小田原 キララ
文化祭、楽しみになってきた
桜木 千春
桜木 千春
……もういいでしょ?
桜木 千春
桜木 千春
文化祭の話は
 千春ちゃんは、うっとうしそうに答えると、お弁当の包みをカバンに戻した。
小田原 キララ
小田原 キララ
どうしたの、急に?
小田原 キララ
小田原 キララ
あたし、なにか変なこと言った?
 あたしはただ、千春ちゃんのことを知りたかっただけなのに。友達との距離って、どうやって詰めればいいんだろう……。

 好きなものや、夢中になれることを聞くのって、どれくらい時間をかければいいの?
小田原 キララ
小田原 キララ
(どうしよう……)
小田原 キララ
小田原 キララ
(なにか失礼なこと、聞いちゃったのかな?)
桜木 千春
桜木 千春
えっと……
桜木 千春
桜木 千春
須藤くんが、キララちゃんを見てるよ
小田原 キララ
小田原 キララ
え? あたしを?
 ざわめきの中心人物である、須藤くんへと視線をうつす。確かに須藤くんは、あたしの方を見ていた。

 話なら、今朝すませたはずなのに。
桜木 千春
桜木 千春
2人で、話してきなよ
桜木 千春
桜木 千春
私、ちょっと用があるから
小田原 キララ
小田原 キララ
えっ!?
小田原 キララ
小田原 キララ
ちょっと、千春ちゃん?
 千春ちゃんは、あたしの声なんか聞こえていないかのように、お弁当の入ったカバンを抱え、教室を出ていった。
女子生徒
女子生徒
え、なに? ケンカ?
男子生徒
男子生徒
やっぱ、気が強いのかな?
 ひとりきりになったあたしに、クラスメイトの視線が突き刺さる。

 みんなの目にあたしは、どんな風に見えているんだろう……。

 空気の読めない人?

 クラス委員に構ってもらえる女の子?

 それとも、エミリージョーンズの娘……?
小田原 キララ
小田原 キララ
(……怖い)
 この学校に来てから、忘れていた。ひとりきりで居ることが、どんなに寂しいことかを。

 結局その日は、ひとりでお弁当を食べることになった。誰かに誘われることもなく、誰かを誘うことも、できないままで……。
 お弁当を食べ終わり、残りの昼休みをもて余していた頃。スマホにメッセージが届いた。送り主は、お父さんだった。

 メッセージは一言。

 「母さんと帰る」とだけ。
小田原 キララ
小田原 キララ
(お、お母さんと!?)
小田原 キララ
小田原 キララ
(そんな……。まだ気持ちの整理もついてないのに)
小田原 キララ
小田原 キララ
(……どうしよう?)
小田原 キララ
小田原 キララ
(こんな事、誰に相談すればいいんだろう?)
 千春ちゃんは、いない。そもそも、千春ちゃんに親の話をしていない。そんな事を気軽に話せる環境も、人も、あたしにはいなかった。

 ううん。作ろうとしなかった。

 友達がいない事を理由にして、自分をかわいそうがってきた。その結果、甘えられる存在の、お父さんとも杏子おばさんとも、深い関係を築いてこなかった。

 今のあたしに相談できる人は、1人だけ……。
小田原 キララ
小田原 キララ
(頼っても、いいのかな?)
小田原 キララ
小田原 キララ
(昨日、あんなこと言ったばかりなのに……)
小田原 キララ
小田原 キララ
(……でも)
小田原 キララ
小田原 キララ
(他に、相談できる人がいない)
小田原 キララ
小田原 キララ
(やっぱり、相談してみよう)
小田原 キララ
小田原 キララ
(夏目先生に……)
 そう決意した時、須藤くんに声をかけられた。
須藤 春樹
須藤 春樹
小田原……
須藤 春樹
須藤 春樹
ちょっと、時間ある?