第3話

謎だらけな彼の名は、神谷。
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2019/08/20 06:49
どうしてこうなった…。

川口の隣に、『僕にも入らせて貰えませんでしょうか!!』と言い出した彼が座っている。

とりま、座ろうか。と言ったもの…この雰囲気どうすればいいんだ。
彼にも言ったものその後どうしようかと悩んでいるようだった。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
(い、言っちゃったよ…!!ぁあ!!)
鈴木 翔 (スズキ カケル)
(メンバーに入れようか…。でも会ったばかりだしな…。)
川口 仁 (カワグチ ジン)
(メンバー増えて嬉しいなぁ!あ、その後カラオケに行って歌いまくろうか…!)
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
……あ、あのっ!!
勇気を絞ったのか、彼が話し始めた。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
突然すみませんでした。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
何故【実験】のことを知っているかと言うと…盗み聞きしてました…。すみません。
なるほど、盗み聞きしていたからなのか((殴

それで面白そうだなと思い、僕もやりたいだと思い始めたのだろうか。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
お願いです!僕にも入らせてください!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
で、でもなぁ会ったばかりの人に…
名前も君のことについても何も知らない。

その上、夏なのに長袖長ズボンとかあんまり見かけない顔だから余計に……《謎の男》として心の中のどこかで入れることを拒否している。
川口 仁 (カワグチ ジン)
えー、別にええじゃねぇかぁ〜
はぁ…お前は、なんでも軽々しく考えすぎなんだよ。

そうと目で訴えると、伝わったのか川口はてろっ。と舌を出す。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
汚ぇ、舌を出すな(真顔)
川口 仁 (カワグチ ジン)
汚ぇって言われたよォ…おろろ
この会話を、彼は目で追うと楽しそうに微笑んでいた。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
(いいなぁ。とても仲がいいんだなぁ。)
もう言ってしまったんだから、頑張れ僕。

チャンスはもう無いかもしれないぞ。
この2人なら大丈夫。…大丈夫なんだって思えるんだ。なんで…なんでだろうなぁ…。
僕は、両手をテーブルに置き…口を開いた。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
3日だけでいいんです!!
右手の指を3本立てる。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
お願いします…!!僕がやりたい事とあなた達のやりたい事…重なるんです!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
…!?
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
僕…1人なら出来ないんです。でも、貴女達と一緒なら出来そうな気がしたんです!!
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
お願いします!!身勝手ですが!!
頭を深く…深く下げた。
川口 仁 (カワグチ ジン)
もう……いいんじゃね?翔よ。
しばらくじっと、見ていた川口が頭を下げている彼の肩に手を置きながらそう言う。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
……わーかったよ!三日間な。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
ほ、本当ですか!!
パァッと彼は顔を上げた。向日葵みたいな笑顔がそこにあった。

それに対して、川口は渋々している。
川口 仁 (カワグチ ジン)
えー、三日間ってケチやぁ
鈴木 翔 (スズキ カケル)
本人が三日間でいい!って言ったんだよ。
川口は、両手をグーにして顎に当てて彼にぶりっ子風の話し方にして聞く。
川口 仁 (カワグチ ジン)
本当にぃ〜三日間でぇ〜いいのぉ〜??
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
は、はい!!三日間でいいです!!むしろ感謝ですよ!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
川口、やめろ。キモイ。吐く。
彼にも明らかにちょっと引いている。
そこからだんだん気まずい雰囲気になって行くのはごめんだ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
ごめん、気にしないで。こいつ、馬鹿だから。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
あ、大丈夫です…!
川口 仁 (カワグチ ジン)
かけっち!酷い!!
お前、そろそろやばいぞ……。と言う哀れな目で見てやった。

本当に…ドMなんだな。と改めて実感した。
川口 仁 (カワグチ ジン)
ドMじゃねぇよ!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
あ、声に出てた?ごめんごめん((棒
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
…ぶっ…はははっ!
この会話が面白かったのか彼は、笑いで出てきた涙を拭きながら『ごめんごめん』と言う。

これが初めて見た彼の笑顔だった。
なんだ笑えるじゃん。僕達と話してからずっと緊張している顔で少しだけ…心配だったんだよなぁ。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
やっぱり…面白い方ですね!
川口 仁 (カワグチ ジン)
いひひっ!そうかっ!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
あはははっ…!あ、それよりさ…敬語やめよう…!話しづらくなるからさ。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
は、はい。分かりました!……じゃなくて、分かった!
僕と川口は、息を合わせてGoodポーズを作った。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
てか、名前なんて言うんだ?僕は、鈴木 翔。
川口 仁 (カワグチ ジン)
俺はな!俺はな!川口 仁やでぇ!
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
僕は、神谷 由弦って言うんだ!
また、川口らしいことが思いついたのか…ニヤニヤしながら川口は神谷の肩をたたく。
川口 仁 (カワグチ ジン)
じゃ、ゆづっち…って呼ぼうか!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
うっわ…、何でも『…っち』って付けばいいわけじゃねぇんだよ。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
ゆづっち……??
川口 仁 (カワグチ ジン)
あ、気に入らなかったかい?
鈴木 翔 (スズキ カケル)
神谷、嫌ならはっきりと嫌だと言った方が相手の為にもなるぞ。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
ゆづっち…かぁ。
へへっ、僕は嬉しいです!好きですよ、ゆづっちって言うあだ名。
川口 仁 (カワグチ ジン)
うわぁ!やっぱりゆづっちとは気が合うなぁ!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
ま、マジかよ……((苦笑
早速ハグし、キスの形を作る川口に恥ずかしそうに『キスはやめてくださいよ〜!』と言う神谷。


なんだかんだ楽しそうで見ている僕まで自然と笑顔になっていた。
川口 仁 (カワグチ ジン)
てか、また敬語になってたぞ!ゆづっち!
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
え、本当ですか!?
鈴木 翔 (スズキ カケル)
今、今だよ(笑
神谷の敬語はなかなか直らないそうだ。まぁ、少しずつ話して…気がつけば敬語が消えていたらいいなぁ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
一応確認だけど、僕達のやりたい事は神谷のやりたい事は重なっているって言っていたよな?
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
はい!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
青春とかして今を楽しみたい…という事でいいんだよね?
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
はい、おっけーです!
川口 仁 (カワグチ ジン)
じゃ、早速カラオケ行こうや!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
賛成っす。
荷物を手にすると、神谷は困った顔をする。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
ん、どした?
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
あの…カラオケってなんですか??
川口 仁 (カワグチ ジン)
ぉおおお………(チラッ)
な、なんだと…!?
カラオケというものが知らないだ…と…??それは、いかん。こいつは今まで何してたんだ…。

僕は、テーブルを叩くと叫んだ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
ちょっと待て!知らないのか!カラオケをぉぉ!!
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
は、はいぃ…
今まで冷静で、取り慌てることもない僕が突然大声で言うもんだから神谷は少しびびっていた。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
それはいかん…!なんて言うことなんだ!!
しかし、この感情を抑えることは出来ない!!

神谷の隣に、『出てしまったなぁ。』と薄い目で見ている川口が見えた。川口よ…すまない!!
川口 仁 (カワグチ ジン)
始まったよ…やれやれ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
立つのだ!!神谷!カラオケへ参るぞ!!
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
え、なんか話し方とか…川口さん、大丈夫なんですかこれ……。
川口 仁 (カワグチ ジン)
(親指を立てる)
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
いや、Goodじゃなくて…!
神谷の腕に手を回し、僕はあんみつ屋から出る。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
いい天気じゃないか、ほら神谷。覚悟は良いか!?
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
なんか、お…おかしいですよ!熱中症じゃ……いやぁぁぁぁぁァァァァァ!!!




















猛ダッシュしている鈴木に、引きずられているように走っている神谷がまだ微かに見える。うわぁ……。
川口 仁 (カワグチ ジン)
さて、僕も追いかけよっと。

それしても、かけっち…(翔のあだ名です。)僕を置いていくのは酷いっすよぉぉぉおお!!


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