第2話

あんみつ屋での出来事。
54
2019/08/19 12:08
運んできた いつものあんみつを口へ運びながら、これからどうするか。川口と話し合っていた。
川口 仁 (カワグチ ジン)
今さぁ、12時34分なんだよねぇ
川口 仁 (カワグチ ジン)
お腹空かねぇ??
鈴木 翔 (スズキ カケル)
俺は、これで充分だ。
あんみつ2皿食いながらそのセリフを言うのか…お前は。全く…食いしん坊かよ。
川口 仁 (カワグチ ジン)
今は、我慢して…7日目に余った金で贅沢する…と言うのもありだな!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
あぁ、そうだな。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
それよりさ、今日何するのか考えようじゃないか。
川口 仁 (カワグチ ジン)
名案!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
普通のことだろ。
川口は、指を鳴らして二カッと笑う。
川口 仁 (カワグチ ジン)
だったらさ…カラオケでも行k……

『マジ、あの人笑えるんだけど‪w』
川口の言いかけに、女子の声が聞こえた。

僕も、川口もその方へ振り向いた。
そこに居たのは、同じクラスの女子2人だった。
どうやら、2人が見て嘲笑っていた〈もの〉は、さっき見かけた長袖長ズボンの男子高校生の事だった。
川口の笑顔がだんだん消えていくのが分かった。

川口は、こうやって誰かを見下して嘲笑うのが大嫌いだ。何故なら…この人も前、同じような事をされた体験があるからー。

『髪の毛も灰色だし、おじいちゃんじゃん!‪w‪w』


『ちょーウケる‪w 長袖長ズボンとか、肌おかしいんちゃう??‪w』

一瞬にして周りの顔が暗くなる。店のおばさんも困惑していた。

そして、何よりも…嘲笑われた人の手は…震えていた。さっきまで美味しそうにあんみつを食べていたのになぁ。
川口 仁 (カワグチ ジン)
なぁ、翔。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
…ん?
川口 仁 (カワグチ ジン)
やっちゃってもええ?
こっそりと指を差して川口は言った。口は、笑っていても目は…怒りしか無かった。

全く知らない赤の他人でも、助ける、守る。そう言う所が変わらず…尊敬するよ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
はぁ…やり過ぎないようにな。
さっきから手にしていたスマホをもっと見えるように持ち変えて僕は、手に顎を乗せた。



『話しかけてみる??おじいちゃんですか?って‪w‪w』


『行こいこ‪w‪w動画撮る??‪wネットにばらまいてやろ‪っと!‪w‪w』
スマホを取り出して動画を押すが、映る画面は長袖長ズボンの彼ではなく、同じ学校の制服。

女子高校生は疑問に思い、顔を上げる。
女子高校生
え、……あ、川口じゃん。
川口 仁 (カワグチ ジン)
よう、
女子高校生
ちょっとどいてくんないかな?面白いの取れるの!
川口 仁 (カワグチ ジン)
えー、マジで〜。了解っす!今からどきま〜す!
変わらず、いつも見る笑顔の川口。

その笑顔で、2人は川口も協力してくれるんだ。と、安心したのか楽しさが増していく。



でも、それを一瞬としてぶっ壊すのが川口だ。


川口 仁 (カワグチ ジン)
…んなわけねえだろ。
女子高校生
んえっ?
川口 仁 (カワグチ ジン)
なぁ、人を嘲笑って楽しいか?
女子高校生
な、何なのよ…突然。
2人から、笑顔はだんだん消えていく。
なんだって…川口は、あんまり人の前では怒らないから。


しかも、川口は元気で明るいからなのか…まぁまぁ人気がある。そんな人から冷たい目で言われて胸がグサッと刺されたのか…

スマホを持つ手が震えるのが分かった。
川口 仁 (カワグチ ジン)
あーあ、そういう…人間、最低だよなぁ?
またニッコリと、笑いながら2人の視線と同じにするように少しずつ頭を低くする。
川口 仁 (カワグチ ジン)
僕、そういう人…大嫌いなんだよね。
長袖長ズボンの事や、髪の毛の色などで嘲笑われた人は、少しずつ俯いていた顔を上げて…川口の方を見る。微かに口を動かして『すごい…。』と言っていたのが見えた。

いつの間にか彼の震えも無くなっていた。
女子高校生
な、何なのよ!!ってゆうか、こんな暑いのに長袖長ズボンとか、バッカじゃないの??
1人の女子高校生が、指を差して怒鳴る。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
あぁ………っ。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
……はい、だそうです〜。
女子高校生
……は?
僕は、動画を回したスマホを持ちながら2人の所へ近づく。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
お二人さんは、長袖長ズボンしているだけで嘲笑い…馬鹿にするそうです。
たったの…そ・れ・だ・け・で。
全く…人それぞれ違いますのにね。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
そんな性格とは…正直驚きましたね。
女子高校生
な、何…動画撮ってるのよ…!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
……はい。
動画終了のボタンを押すと、再生ボタンを押す。

2人が嘲笑い…馬鹿にするところから、バッチリと映っている。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
これさぁ、学校にばらまいたら…どうなるのかなぁ?
鈴木 翔 (スズキ カケル)
恋人も…友達も出来なくなるかもなぁ〜。うっわ、ネットって怖いなぁ
女子高校生
な、何笑ってい……るのよ。
動画をばら撒かれることがよっぽど怖いのか二人共、涙まで浮かんできた。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
これが…2人がやろうとした事だよ?
鈴木 翔 (スズキ カケル)
やられる方の気持ち…分かった?
女子高校生
は、はいぃ…
鈴木 翔 (スズキ カケル)
もうしないでね
僕がそう言うと、2人は頭をペコペコと下げて嘲笑った相手にも『ごめんなさい。』と言うと、サッサっとこの店から出ていった。
鈴木 翔 (スズキ カケル)
…ふぅ、すみません。お騒ぎしました。
僕が周りへ頭を下げると、川口も続けて頭を下げた。その時に川口がこそっと僕にこう言った。
川口 仁 (カワグチ ジン)
相変わらず、やるなぁ〜翔は。
僕は、心の中で『お前もだよ。』と呟いた。

はい、一件落着…!
席に戻ろうとすると…呼び止める声が聞こえた。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
あ、あのっ!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
ん?
川口 仁 (カワグチ ジン)
おっ?
振り返ると、そこには…灰色の髪の毛をした彼が立っていた。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
助けて頂き、ありがとうございました!
深く頭を下げるもんだから、川口は慌てて『頭を上げな!上げな』と早口で言う。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
んで…!!突然厚かましいですけど!
川口 仁 (カワグチ ジン)
ん?
鈴木 翔 (スズキ カケル)
……何?
言おうか言うまいかと迷ったが、ビシッと決めたのか顔を上げて…

僕らが驚くことを口にする。
神谷 由弦 (カミヤ ユヅル)
2人が創り出した《実験》…!!僕にも入らせて貰えませんでしょうか!!
鈴木 翔 (スズキ カケル)
……えっ?
川口 仁 (カワグチ ジン)
んええっ!!てか、なんでその事…
目を真ん丸ににして驚く僕らにまっすぐと真剣な目で見つめる謎の彼。

コップの中の氷が少し溶けてカランコロンと鳴る音だけが響いた。





【早速、計画変更…。
メンバーが増えるかもしません。】



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