[瞬の会社]
瞬の同僚達(女性)が雑誌を見ながら騒いでいる
三島)「お!見てみて!」
田口)「なに?」
三島)「モデルの内田ミナミ、結婚だってー!」
田口)「へー」
三島)「ふーん...。プロポーズの言葉、
[結婚してくれませんか?]
だって。」
三島)「案外地味なのね。私だったら、もっとこだわってほしいけど...」
山田(男))「(ボソッ)不細工が偉そうによく言うぜ。言われたこともねーくせに...」
ピキッ....💢
三島)「うるさいわね!!!あんただってどうせ言ったことないんでしょ!!!」
山田)「忙しいときに耳障りなんだよ!!!」
ギャアギャアギャア(二人が騒ぐ)ギャアギャア!!!
瞬)「..........ぼ、僕屋上で昼飯食べてきます」
瞬)「フー....」
ー 三島の話の回想 ー
(結婚してくれませんか?だって...)
瞬は、じっと空を見つめた。
プップップップップルルルルルプルルルルル[電話]
瞬)「あ、お義母さんですか?笹間(瞬の名字)です。今、お電話大丈夫でしたか?」
瞬)「…ーーえぇ、昨夜、沙夜ちゃんと話し合ったんですがやはり、オレンジ色のランドセルにしようかと..」
マキの母 キヨ)『わかったわ。早速、予約を入れておくわね』
瞬)「よろしくお願いします」
キヨ)『でも、早いものね。沙夜ちゃんが小学生になるのねぇ』
瞬)「ハハッ..そうですね」
キヨ)『ね、、、ねぇ笹間さん..』
瞬)「はい?」
キヨ)『親の私がこんなこと言うのもどうかと思うのだけど...』
『マキが亡くなって、もう一年も経つわ..』
静かなトーンで言った
キヨ)『そろそろ、ご自分の幸せをお考えになってね.....』
モグモグ(ご飯を食べる)モグモグ..
瞬は、ベンチにゴロンと寝転がり、ご飯を食べる
ボー、と空を見ていると、飛行機が見えた。
ー 回想 ー
マキ)「何で瞬くんが空港にいるのよ!」
瞬)「何でって..マキさんの留学の見送りです」
マキ)「ちっがうっ!!!!」
マキ)「瞬くん!今日は大学の二次面接でしょっ!」
瞬)「あぁ、行ったことは行ったんですけど.....」
瞬)「僕の番ちっとも来ないから来てしまいました..」
マキ)「~~~~~~~~~!」
マキ)「ばっかじゃないの!!!!」
瞬)「!」
マキ)「今からでも間に合うかもしれない!タクシーに乗っていきなさい!」
瞬)「だ、、大丈夫ですよ!まだ、第一志望校残ってますから...」
マキ)「そこ落ちたらどうすんの!?
瞬くんは、世の中甘く見すぎてる!!」
瞬)「は....はい」
マキ)「まったくもう!しっかりしてそうで抜けてるんだから...
えぇーと、タクシー乗り場タクシー乗り場」
自分のために必死になってくれてる、マキのその横顔を見た。
とてもキレイだ....
瞬)「あ、あの...マキさん...」
マキ)「ん~?」
瞬)「僕と結婚してくれませんか?」
こっちを見た
マキ)「.....」
瞬)「い、いや、もし、向こうで就職しなかったらというか..か、彼氏も見つからなかったらというか..」
いまさら照れた。
真顔だったマキが急に笑い出した
マキ)「フッハハハ!!高校生がなにいってんの?瞬くんテレビの見すぎじゃないの?」
瞬)「!! いや、でも!あの..」
マキ)「やだよ。先のことなんて分かんないもん。それより、はい。3番出口にタクシー乗り場あるから」
アナウンス〔741便にご搭乗のお客様は8番ゲートまで....〕
マキ)「あ、いかなきゃ。じゃあ、さようなら瞬くん。元気でね!」
瞬)「ま..マキさん....!!!!」
スタスタと行ってしまう
(振り返りもしないんだな..)
瞬)「…ーー」
あきらめ、行こうとしたとき...
グイッ!!!!腕を引かれた
チュッ 小さく、頬にキスされた
瞬は、また、走っていく人を目で追いかけ、泣きそうになった
走っていく、マキの後ろ姿をみて.........
瞬)「ま、マキさん!!待って!マキさん...」
あの日...
もしかすると君は
僕以上に
泣いていたのかもしれない...
[現在]
『ねぇ、笹間さん。マキが亡くなって、もう一年経つわ...』
『そろそろ、ご自分の幸せをお考えになってね....』
瞬) 「たった一年ですよ」
「たった...」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!