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第24話

『冗談でしょ?』と『卑怯だわ』
32
2018/07/03 11:36
〔カンナの家〕

カンナが人形(ロロ)と遊んでいる

ロロ(カンナの声まね)『ねぇカンナちゃんお腹減らない?』

カンナ)「うんお腹減った――。」

カラカラカラ(ドアが開く)

キヨ)「ごめんください...」

カンナ)「!」

キヨ)「あの...遅くにすみません...」

カンナ)「あっ沙夜ちゃんだー!」

お腹減ったとぐずっていたカンナは喜んだ

マサ子)「まぁまぁ、この度は大変なご迷惑を申し訳ないです...」

キヨ)「いいえ。こちらこそ突然押し掛けてしまって..」

マサ子)「ほんっとにうちの子ったら情けない...お恥ずかしい限りですわ..!」

怒っているのか悲しんでいるのか、よくわからない顔をして言った

キヨ)「...」

キヨは...かつての自分と重ねていた






キヨ)「『冗談でしょ?』と『卑怯だわ』」



マサ子)「...え?」

ポカンと口を開けたマサ子

キヨ)「娘に子供ができたとき、贈った私の言葉ですの...」

マサ子)「―――...」

キヨ)「実は私の娘ですが...学生の頃に子供を産みましてね...」

マサ子)「ま....まあ...」

キヨ)「でも結局『おめでとう』という言葉
言いそびれてしまいました...」

キヨ)「どうするか決めるのはその後でも遅くはなかったのに、諌めるばかりで言ってやれなかったんです」

キヨ)「とても悔いが残っています。
本日はそれをお伝えに来ましたの...」


母としての最後の役割だもの...


マサ子)「――――...」












〔カンナと沙夜〕

沙夜)「えっ、カンナちゃんお父さんのいるところ知ってるの!?」

カンナは、しーっ、と指を口にあてた

カンナ)「母ちゃに怒られたとき、父ちゃよくそこに隠れるw」

沙夜)「そ....それなら呼びに行こうよ」

カンナ)「いいよっ。皆には内緒だけど沙夜ちゃんには教えてあげるw」

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