第19話

あなたのせいじゃない....
15
2018/06/27 09:52
すっかり辺りは暗くなっていた

キヨ)「本当にお夕食べていかないの?」

アンナ)「うん...折角だけどご飯は家で食べないと父さんがうるさいから...」

アンナ)「おばさんごめんね、いろいろと。
とりあえず明日、検査だけでも受け行くよ」

キヨ)「いいのよ。頼りないけど何かあったらいつでも来てね」

アンナ)「じゃーね沙夜。カンナをよろしく」

沙夜)「は...はい」

沙夜はどうしてもさっきの事が気になっていた。でも、聞いてはいけない。わかってる


沙夜)「........」

沙夜)「ア...アンナちゃんのお腹に赤ちゃんいるの.....?」

つい...聞いてしまった

アンナ)「えっ....!い、いや、まだハッキリとは....」

沙夜)「赤ちゃんいらないって言ったのは、不幸になりたくないから?」

アンナ)「?」

沙夜)「クラスの子が言ってたよ。
しんぐるまざーは大変だから不幸になるって」

沙夜)「アンナちゃんは不幸になりたくないから赤ちゃんいらないって言ったの?

さ、沙夜を...沙夜を一人で産んだママは不幸なのかな?」

沙夜が聞きたかったこと...
それはマキの事だった。
シングルマザーだった自分のママ
自分のせいで不幸だったのか...?

だんだん沙夜の目に涙が溜まってきた


アンナ)「ち...違うよ、沙夜っ!」

とても必死な沙夜の表情に、気の効いた言葉を言いたいアンナだが、思い付かなかった

沙夜)「じゃあ...どうしてもいらないって言ったの?」

アンナ)「そ、、、それは...」

キヨ)「さ、沙夜ちゃん。お姉ちゃん困らせちゃダメよ」

沙夜)「で...でも....でも...」

沙夜)「うわーん....」
とうとう泣きだした

子の小さな子の心に一体どれだけの不安があるのだろう....

アンナ)「ご..ごめん、沙夜...
違うのあたし...そ、そんなつもりじゃ..」

アンナ)「.....うわ~ん」
アンナまで泣きだした

キヨ)「あらあら、た、大変...
困ったわ...どうしましょう...」



..............これは一体..?

瞬)「..あ、あのぅ

ただいまー...」

泣いてる沙夜とアンナ

オロオロしているキヨ...。



瞬)(....誰も気づいてくれない....)




少し時間が経った
沙夜はしっかりと泣き止んだ様子だ。

沙夜)「バーバ...瞬くんは?」

キヨ)「んー?アンナちゃんを送ってもらってるわ」

沙夜)「そう...」

沙夜)「ごめんなさい、バーバ...」

キヨ)「ううん、いいのよ....
沙夜ちゃんのその気持ち、分かるもの..
おばあちゃんも、昔そうだったから...」

キヨ)「自分のせいで大事な人が辛い思いをしなきゃいけないなんて誰だって嫌だものねぇ....」

また...泣きそうな沙夜

キヨはニッコリ笑った

キヨ)「いらっしゃい..」
そっと手を差し伸べた

その手をしっかり持ってぎゅっと抱きつく

いつもより強く感じる沙夜の手を、しっかり抱きながら続けた

キヨ)「ねぇ、沙夜ちゃん
みんなの言う通り、一人で産むことは確かにとっても大変な事なの。
だからアンナちゃんのような考え方はけして間違いじゃないのよ...」

キヨ)「けれど...誤解はしないで
マキが沙夜ちゃんを、それでも一人で産んだのは、大変だとわかっていても、沙夜ちゃんに会いたかったから...」

キヨ)(私がそうだったように.....)






キヨ)「だから、マキは不幸じゃないのよ
これだけは覚えておいて...」

キヨ)「...ね?」

沙夜)「うん......」

グスッと顔をキヨの胸におしつける

沙夜)「わかった..........」




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