次の日、少し早めに部活へ行くと例の3年生がいた。
3年生「おっち〜!こないだぶり!」
「え、あ、あの時はすみませんでしたっ!」
状況がのみこめないまま、私はブンブンと頭を下げた。
3年生「良いって笑 大したことないからさ」
「あ、いや…ほんと…」
康「いや〜たくまくん、やりますなぁ!」
3年生「こーじ!さ、く、ま!!」
「え…?」
康「たくまくんはたくまくんやんな?」
3年生「間違ったこと教えるなよ笑
俺、さくまだいすけ。3年!」
「あ、あなたです…」
私はチラッとこーじ先輩を睨んだ。
康「ごめんて笑笑」
佐久間先輩はこーじ先輩と仲良しらしい。
転校してきたときに一番初めに構ってくれたのが佐久間先輩で、それからずっと懐いてる…みたい。
こーじ先輩がなんで″たくまくん″と呼んだのかはよく分からない笑
「佐久間先輩、部活行かなくて良いんですかね…」
美術室で呑気に遊ぶ姿を見て不思議に思った。
康「あー…さっくんは部活辞めたんよ」
「なんで…?」
康「なんでやろな笑」
俺に聞かないで、という顔に見えた。
知り合ったばかりの私が聞く話でもないと少し反省した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!