週が明けた月曜日、佐久間先輩はまた美術部に来ていた。
佐「おっち〜!あなたちゃん!」
「お疲れ様です…」
康「なんや!またナンパかいな…」
佐「んなわけないでしょ〜」
佐久間先輩はくるっと背を向けた。
なんなの…。
康「せや、あなた、この間の絵見せたって!」
「だ、ダメです!!!!!!」
佐「絵?」
康「あなたがな、さっくんの絵描いとったんよ〜!
これがまたえらい上手でなぁ…」
「こーじ先輩…やめて…」
佐「ふーん?あなたちゃん、勝手に描いて見せてくんないんだぁ〜?」
「そういうわけでは……」
佐「ふふ、俺女の子イジメるタイプじゃないから!心配しないで笑笑」
「……」
十分イジメてますよ…先輩。
気づけば佐久間先輩は他の部員とアニメや漫画の話題で盛り上がっていた。
「美術部、入ったらいいのに…」
佐「んー?」
心の中で呟いたつもりが口に出てしまっていた。
佐「にゃは、あなたちゃんの言う通り!
でも俺、絵下手なんだ!」
康「リスとか上手やったやん」
佐「ここのみんなに比べたらねぇ…?
恥ずかしすぎるよ笑」
佐久間先輩はイヤイヤと手を振りながら笑っていた。
笑っているけど、なんとなく、地雷を踏んでしまった気がして後悔した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。