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第4話

失う
目が覚めると真っ白で無機質な部屋に居た。

そこが病室だと気づいたのはそれから暫く経ったころだった。


「気づいた!?」


涙でクシャクシャな顔のお母さん。

いつもあまり表情を変えないお父さんの歪んだ顔。

目に涙を溜めている3歳の弟。


私は何故かそんな家族に囲まれていた。


「ねぇ…私、どうしたの?」


私のそんな声が虚しく病室に響いた。


それから、私は様々な検査を受けたが幸運なことに頭を強く打つ以外怪我は無かった。

すぐに退院ができるそうだ。


そっか…あの日学校が終わったあと
男の子を助けて代わりにトラックに轢かれたのか…

だけどよく生きてたな…
不幸中の幸いってことか…


そんなことを考えながら布団に潜り込む。

あれ…

何か私、大切なことを忘れてるような…

気のせいだよね。


特に気にすることなく私は退院した。



「美桜〜!もう!心配させないでよ!」

学校に行くと綾ちゃんが私に飛びついてきた

お見舞いにもクラスの子が来てくれることはあった。

綾ちゃんも来てくれてたのに大袈裟だな…

私は綾ちゃんの優しさに改めて触れることができた。


「美桜。」

私が綾ちゃんと話をしていると声をかけられた。

振り向くとそこには見たことがない男の子が立っていた。


「え…あの…すみません。誰ですか?」


私は隣に居た綾ちゃんに

「いつの間に転校生が来てたの?」

そう聞くと綾ちゃんは気まづそうに

「え…美桜あんたもしかして賀川のこと覚えてないの?」


「賀川?」

「そうだよ。賀川 秀だよ!」

「賀川 秀……誰?」


私のその言葉に辺りはざわめく。

えっ…だってこの人と私、初めましてだよね?


私はどこか違和感を感じつつ賀川と呼ばれたその男の子を見る。


「すみません…私、事故に遭って…忘れちゃってるのかもしれません…」


私がそう言うと賀川さんは「そうか」と短く言い終えた後、私たちの前から居なくなった。


何だったんだろう…

私、悪いことしちゃったかな?


スッキリしない気持ちのまま、授業を受けた。