目を開けると一人美術室に居た。
【コーンコーン】
下校の鐘が鳴り響く。
ひとりぼっち。絵を描いてる
目の前には不自然に空いた椅子。
誰かがいた気がした
手に持っていた鉛筆が落ちる。
寂しいは無かった。
悲しくも無かった。
ただ…震える体を抑えながら
うずくまってるだけだった。
自分の膝に顔をうめる。
がばっと顔を上げた。
誰かがいた気がしたから
すると周りは青と白の世界に変わって居た
目の前には白猫と黒猫が一匹ずつ居た。
猫をぼんやり見つめてると
二匹が動き出した
【追いかけなきゃ】
自然と体は動く
猫が向かう方へ。
だめ。
だめ。
そっちは_
寸前で止まる。
よかった。だいじょう_
鈍い音が鳴り響く。
私が落ちた音。
学校の屋上から。
最後に押された少女は落ちた
その世界で私が最後に発したのは
たった二文字。それだけだった
【その時少女は少年を思い出せたことに】
【幸せそうに死んでいった】
【落下死】
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。