第3話

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2018/04/19 09:30
次に目を開けると病院にいた。
頭に包帯が巻かれていた。
よこには私の手を握りながら寝て居るユトの姿
ユトの頭を撫でる。
私は死んでなかったんだ。
よかった…まだユトと_
【チリンチリン】
鈴の音が鳴る。
私とユトのいる病室に鳴り響く
やだ。
やだ。
まだ一緒に居たい。
いつのまにか開いた窓に黒猫が立つ。
それに気づいた瞬間_
【グサッ】

鋭い音が鳴り響く。
ああ。血を吐いて倒れる。
ユトは…ユトだけは守りたい
だから願うんだ。
ただ願うだけ。
ナースコールボタンを押しながら。
ユトを守る。
刺された腹部からの出血で
ユトの顔に血が付く。
私を刺した人はナースコールに
怯えて逃げていった。
だんだんと薄れゆく意識の中、
ただズキズキと痛む頭と

感覚のなくなってゆく腹部に


身を委ねて目を瞑る
苦しい悲しい…さようなら…
【最後に少女は笑った】
【大切な人を守れた喜びに溢れて居たから】
【刺死】

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