ボウルを器用にかき混ぜる日向の手元を見て私はそう言葉を零した .
いつも騒がしく , 野生的本能!って感じの後輩の日向がこんな所で器用なのは驚き以外の何者でもなかった。
日向の手際良い手元を眺めながら話を続ける。
少し口元が緩みながら、日向の手元から目線を逸らし影山の方へ目を移した。
影山は .. 自分では頑張ってるつもりなんだよね、すごく伝わってくる。
でも ..
影山の目の前にあるボウルを覗き込むと、小さな白いかけらがチラホラ見える。
私は極力手を出さないようにして、日向と影山自身に作らせることにした .
きっとその方が2人の達成感も大きいから。
二口に名前呼ばれるの、まだ慣れないな ..
カウンターから厨房に二口が顔を覗かせている。
直接代金を受け取り厨房に戻る .
日向が満足げにオーブンの扉を閉じてこっちを見ていた .
クッキーが焼きあがるまで , 私達はホールで待つことにした。
私は少し後輩に聞いてみたかったことを聞いてみることにした。
日向と影山は顔を見合わせて口を開いた .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。