第4話

第4話 眠れない夜に
7,576
2019/11/09 04:09
チクタクと音を奏でながら、リズムよく時を刻む掛け時計を見つめる。

先日の保健室でのやり取りや、蒼真とのいろんなことを思い出しているうちに、変に目が冴えて寝付けなくなってしまった私は、もう何度目か分からないため息を零した。

22時には布団に入っていたのに、もう時計の針は23時45分を差している。

明日も学校だって言うのに……全然眠れない。
西園寺秋華
西園寺秋華
何か温かいものでも飲もうかな
独り言を零しながらベッドから起き上がった私は、月明かりだけが照らす薄暗い部屋を出て、廊下の電気を付けると、突然の明るさにチカチカする目を擦りながらキッチンへと向かった。

〜キッチン〜


いつもティータイムになると、メイド見習いの春香ちゃんが私の好みに合わせて美味しい紅茶やココア、ホットミルクなんかをいれてくれる。

おかげで自分でいれたことは数えるくらいしかなくて……。


正直、不安しかない。
西園寺秋華
西園寺秋華
春香ちゃん、寝ちゃったかな
西園寺秋華
西園寺秋華
わざわざ起こすのも悪いし……
適当になにか作ろうっ!
チャレンジ精神が大事だよね!
なんて、自分に言い聞かせて薄暗いキッチンの明かりを付けようとした私は
雪平蒼真
雪平蒼真
……お嬢様?
西園寺秋華
西園寺秋華
っ、!?
突然、キッチンの暗闇の向こう側から声が聞こえて肩がビクッと揺れた。
西園寺秋華
西園寺秋華
そ、……蒼真?
西園寺秋華
西園寺秋華
びっくりした……
脅かさないでよぉ
雪平蒼真
雪平蒼真
すみません
脅かすつもりはなかったんですが
雪平蒼真
雪平蒼真
珍しいですね、お嬢様が
こんな時間に起きてるなんて
西園寺秋華
西園寺秋華
……うん
なんか変に目が冴えて寝付けなくて
西園寺秋華
西園寺秋華
何か温かいものでも飲もうかなって
雪平蒼真
雪平蒼真
同じですね
西園寺秋華
西園寺秋華
え?
雪平蒼真
雪平蒼真
私も寝付けなくて
ホットコーヒーを飲んでいました
西園寺秋華
西園寺秋華
コーヒーって……
ますます眠れなくなるんじゃ
雪平蒼真
雪平蒼真
ハハッ、ですね
雪平蒼真
雪平蒼真
……じゃあ、一緒に寝ます?
西園寺秋華
西園寺秋華
……っ、え!?
フッ、と優しく笑って「昔はよく一緒に寝ましたよね」なんて言う蒼真に、じんわり嬉しさが込み上げてくる。

小さい頃は蒼真とくっついて寝るのが好きだったっけ。

温かくて、心地よくて……安心してぐっすり眠れるんだよね。
西園寺秋華
西園寺秋華
一緒に寝、
雪平蒼真
雪平蒼真
冗談ですよ
西園寺秋華
西園寺秋華
え……
雪平蒼真
雪平蒼真
お嬢様にはよく眠れるように
ホットミルクをおいれしますね
西園寺秋華
西園寺秋華
〜〜っ!!
もう!蒼真の意地悪!!
雪平蒼真
雪平蒼真
いつも冗談ばっかり言うお嬢様に
私からのちょっとした仕返しです
私をからかって遊ぶなんて、意地悪にも程がある!
私が蒼真を好きってことも知ってるくせに。

……ん?待てよ。
今、冗談ばっかり言う私に仕返しって言ったけど。なんのこと?

いつもスルーされてばっかりで、ちゃんと返事をもらえたことがないし……。


もしかして「好き」って気持ちが冗談だと思われてる?だとしたら【好き好き大作戦】失敗なんですけど!?


もう!この恋、前途多難すぎる!!

プリ小説オーディオドラマ