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翌朝…
私は彼より早く目が覚めて支度を始めてる。
洗面台の鏡にうつる自分を見て、思わず絶句。
首に無数のキスマーク。
1つや2つじゃない。
不自然だろうけど、これを皆に見せるわけにはいかない。
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眠そうにお腹を搔きながら洗面台に顔を出す彼。
そんな姿すら様になってるからすごい。
彼は私の腕を引き寄せると抱きしめてくる。
私の左手を見て彼は微笑む。
彼にとってそんな存在で居られることが私も嬉しい。
私にぎゅっと抱きつく。
できればもう少し抑えてほしいのは、言わないでおこう。
反撃が怖いから。
そう言って笑う彼に私は軽くパンチする。
たぶんまだ彼は私の学生時代のことを根に持ってる。
早く起きたはずなのに、もうすぐ出ないといけない時間。
私は不満そうな彼を置いて、一足先に家を出た。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!