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第20話

未来に向けて歩き出す
河端 零
河端 零
これが本来、胡桃に送るはずだったメッセージだ。
想太が、胡桃を振った理由を絶対に言わなかったのは、不思議な力のことだけじゃなくて……胡桃を好きな気持ちに嘘をつきたくなかったから、だと思う

零くんが言うのだから、そうなのだろう。


私は、想太が零くんに預けたというメッセージを見せてもらうことにした。

【桜野想太は、罪深い人間だ】


【彼は自分本位で、大切なあなたを傷つけた】


【それでも、あなたには幸せになってほしいと願っていた】


【あなたのすぐ近くに、この先ずっと大切にしてくれる人がいる】


【あなたとその人に、永遠の幸せが訪れることを、桜野想太も願っている】



全文を読んで、言いようのない切なさが、喉元に込み上げてくる。
永沢 胡桃
永沢 胡桃
っ……
河端 零
河端 零
こんなの、匿名で送ったって……きっといずれ、送ってるのが俺だって胡桃にバレる。
馬鹿だよな、あいつ。
こんなんで、胡桃がすぐ立ち直れるわけじゃないのに

零くんは苦笑を浮かべる。


私は首を横に振って、もう一度「ありがとう」と伝えた。


葬儀の日、零くんが私に「今でも、想太のこと好きなの?」と確認したのには、複雑な背景にあったのだ。
河端 零
河端 零
想太の思いを無駄にしたくないとか、傷心してる胡桃につけこもうとか、そういうの全部抜きにして……俺はずっと胡桃が好きだった。
今でも好きだ。
想太みたいに胡桃を笑わせられるかっていうと自信ないけど、絶対に大切にする。
それだけは約束できる!

零くんの必死な顔を初めて見た。


改めて告白されると、心が揺らいでしまう。


今でも想太が好きなことに変わりはないけれど、想太や私を真っ直ぐに、真剣に思ってくれる誠実な零くんのことも、大好きだ。


彼となら、想太の思いを共有しながら生きていける。
永沢 胡桃
永沢 胡桃
甘えて……いいの? 私、零くんといたら、想太の話ばっかりするかもしれない……
河端 零
河端 零
それでもいい。
俺も話したい
永沢 胡桃
永沢 胡桃
それなら、前向きに考えさせてほしい、です
河端 零
河端 零
……よかった。
はー……夢じゃないよな?

私たちは、涙を拭いながら笑い合った。


また想太の遺影に会いに行こうと約束して、互いの存在と体温を確かめるように手を繋ぐ。


それは恋人同士でも、家族でもない、不思議な温もり。


もしかしたらこの先、想太が願ったように、私は零くんと幸せになるのかもしれない。


それでも、私が罪悪感を抱かないように、想太は配慮してくれたのだ。



想太の愛情と思いを胸いっぱいに満たして、私はようやく、前を向いて歩き始めた。



【完】