ぶるーくside
僕がずっと幼かったときのこと。
生まれた時から病気を持っていた僕は学校に行くことも
出来ず入院生活を送っていた。
病院内は歳が近い子もいないし、遊ぶものもない。
とってもつまらない日々でいつの日か担当してくれて
いる看護師さんや家族にも感情を閉ざしていくようになった。
でもある日、僕が診察を終えて病室に戻ろうとした時
待合室で僕と同じくらいの歳の泣いてる女の子を見つけた。
いきなり声をかけた僕に少し驚いてから顔を上げたその子は涙を堪えて
「なんでもない!」
って作った笑顔を見せてきた。
それが気に入らなかった僕は
「…え?」
「…お兄ちゃん……お兄ちゃんが死んじゃったの」
「私、お兄ちゃんと一緒にお散歩してて信号が青になるの待ってたの。そしたらいきなり車が私達の方に向かってきて、お兄ちゃんが私を守ろうとして…そこから覚えてなくて起きたらお兄ちゃんが…」
「私お兄ちゃんしかいないの。ずっと前に捨てられた。」
「私これからずっとひとりぼっちなのかな?」
「え?」
「本当?」
「ありがとう!」
「私は…」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!