あなたは耳を塞ぎ、俯いていた。
…あなた
そんなあなたを見て
口を開いたのはリドルだった。
…なぁに?
泣き声とも笑い声とも言える声が出た。
不思議と、ノイズはかからなかった。
ボク…さっき、
キミに酷いことを言ってしまった
迷惑だなんて思ってない…
忙しくて…疲れてて
ついキミに当たってしまった
許して、くれないかい…?
ゆるす。
ゆるす、ゆるす…?
「許す」と漢字変換するのに時間がかかった
許すわけないでしょ…
こっちはたくさん傷付けられたのに
「ごめんね」だけで許される世界
あっちはたくさん傷付けたのに
平気でいて大丈夫な世界
消えちまえばいーのに…
ぁ、せ、拙者も、!
ゲームでボロ負けして…
最悪の気分で登校しようとしたら
あなた氏がいた…から…
あなた氏は悪く無いのに…
八つ当たり…しちゃった…
僕、も…
人間をいじめるなんて
言語道断だと思って、
突き飛ばしてしまった、!!
いじめを防ぐつもりが、
自分がいじめてしまっていた…!!
次々と
「僕も」「俺も」と出てくる
汚れた言葉に埋もれそうになって
聞こえないように
強く、強く耳を抑えた。
なにそれ、みんなばかみたいな理由…
あなたの呟きは誰にも聞こえない
みんな
謝っている自分に酔って
謝ったことで許してくれたと思い込んで
汚い
汚い言葉をあなたに投げかける
それが仇となっているとも知らずに
それがあなたをもっと苦しめているとも知らずに…
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。