病室に戻って
あなたの頬を撫でる
〝__心臓にあった小さな腫瘍が脳に転移し、徐々に拡大してきています 〟
腫瘍 ?
拡大 ?
俺は絶対そんな事受け止めたくなくて、
「 あなた…っ…! 」
…違うよね、
あなたはただ、眠いから寝てるだけなんだよね 。
きっとそうでしょ? …ね、あなた
だったらさ、早く目を覚まして 、
俺に飛びっきりの笑顔を見せてくれよ
〝__過去に同じようなケースで、意識が戻っても記憶を無くしてしまう、そんな方もいらっしゃいました。〟
あの時の、先生の平然とした顔が頭から離れない 。
…なんであなただったの…?
あなたはただ、人を幸せに、笑顔にしてるだけなのに 。
とりあえず、手術を行うのはあなたが意識を取り戻した後という事で、
今はただ、見苦しい姿のあなたをただ見守るしかなかった 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!