それから数日。
大きな問題もなく、再編成の日を迎えた
私はパソコンで資料を作っている。
そして気がつくと夜の5時。
みんなの練習風景が気になり、
廊下に出た瞬間一人目発見。
『 …………栗ちゃん、? 』
下を俯きながら歩いている栗田くん
栗田「 ……あなたちゃん、ちょっと来て 」
今までに見た事ないくらい、
物凄い真剣な顔で言われたので怖くなった
そして部屋に入り2人きりになる
『 ……お話?ゆっくりでいいよ。 』
栗田「 今日、ゲリラ順位発表式があったんだ。 」
『 え、…………… 』
栗田「 …………俺、20位以内に選ばれなかった 」
『 待っ、て…………どういうこと 』
栗田「 …………今までありがとう 」
『 …………うそ、だよね、聞いてないよそんなこと 』
瞬きをするように目から涙が溢れる
拭う気力すらない
栗田「 ていうのは嘘やけど。 」
『 は 』
え?
栗田「 うそぴょん!!!!笑 」
『 えっ、、、はああ!!!どういうこと!どこまで嘘!! 』
栗田「 ゲリラ順位発表式があって、20位以内に入らなかったのは事実だけど脱落者はいなかった笑 」
『 ね、ほんとに……悪質すぎない!? 』
いや良かった……本当に良かった……
『 栗ちゃんは私が一番初めに仲良くなった練習生だもん。もうヤダ。栗ちゃんはデビューするもん。 』
少し拗ねながら言うと、"可愛いこと言ってんなああ!笑"とか言いながら頭をガシガシしてくる
『 ちょっと〜、あんなに真剣な顔初めて見たし 』
栗田「 まあ、辛かったけどね。現実突きつけられた。 」
そう言いながら、
私の頬に手を当てて涙を拭ってくれる
『 大丈夫だよ。栗ちゃんのいい所、全部知ってるもん。きっと大丈夫。 』
目を見ながら私はそういう。
すると視界が真っ暗になった
栗田「 も〜〜やめて!!……笑 」
『 ちょ、急すぎ!! 』
いきなり抱き着かれたらびっくりしますよ笑
そう思いながら、
今まで不安だったんだな……とも思う。
『 …………栗ちゃん大好きだよ。 』
栗田「 …………そうやってすぐ色んな人に好き好き言う… 」
『 うるさいなぁ!そんな言わないし! 』
栗田「 俺だけ特別?笑 」
『 特別も何も無いよ笑 』
栗田「 そっかぁー、俺は本気で特別やけどな?笑 」
『 はいはい、からかわないの。 』
そう言いながら離れると
栗田ちゃんの目に涙が溜まってるのが見える
『 我慢しないでいいんだよ、はい。 』
ハンカチを差し出すと
栗ちゃんは後ろを向いて、
涙腺が解けたかのように泣き出す
……私は知ってるよ。
全て初心者なクセして、
仲間にダンスを教えてるところ。
辛いことがあっても、
涙を我慢して見せないところ。
そして誰にでも優しくて、
誰とでも仲良くなれるところ。
オンタクトに比べて、
すっごいダンス上手くなってるし、
君はデビューすべき人なんだ。
だから、最後まで、
ファイナルまで、
……君のメイクをしたいんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。