ついに来てしまった 、この日が 。
第二回順位発表式 。
私はいつもより早く行き 、
椅子に座ってボーっとしている 。
初めは101人のメイクなんて大変すぎた 。
ブラック企業 !! とかほざいていた
でも 、今日が終わったら21人になる 。
もう 、19人のメイクは出来なくなる 。
まだ決まってないけど 、
誰にせよ嫌だ 。
お別れなんかしたくない 。
そうこうしているうちに 、練習生が来た 。
『 おはよ〜 』
後藤「 わ、なんかあなた見たら緊張して来た笑 」
『 なんでよ!笑 』
後藤「 だってあなたがメイクする時って毎回バトルか順位発表だもん笑 」
『 まあ確かにね笑 』
村松「 いやぁ 、黒にんにく美味しいっす笑 」
『 それめっちゃ匂います〜 !!!! 』
練習生のみんなはいつも元気だ 。
そんな姿に私はたくさん勇気づけられてきた。
木村「 …… 」
『 柾哉くん、おはようございます。 』
木村「 あ、あなたちゃんおはよ、… 」
『 あなたちゃん特製の愛情たっぷり珈琲要りますか? 』
木村「 ふはっ、なにそれ、要る笑 」
『 …笑ってくれてよかった 』
木村「 ……え?俺そんなに険しい顔してた?笑 」
『 え…いや、違…そういう意味じゃ…… 』
木村「 わかってるよ笑 」
『 …もう…本当に柾哉くんの真面目な顔程見たくないものはありませんよ 』
木村「 なに〜それ笑 」
『 ……不安なんですか? 』
木村「 うーん……ゲリラ順位発表式でベネフィットの重要さに気づいたのに、コンセプトバトルでは結構上位な練習生の元に渡ったから……怖いかな…… 」
『 ……そりゃそうですよね…ベネフィットってなんなんだって感じですよ…… 。でも柾哉くん、あなたはベネフィットも何も無い状態で一位になったことがあるんですよ? 』
木村「 え……?笑 」
『 ……だから無理して笑わないでいいんです。柾哉くんのことを求めてる人はたくさんいるし、柾プの愛はベネフィットよりも大きいですよ? 』
木村「 ……また泣かそうとしてる〜〜もうっ!笑 」
『 いや柾哉くんが勝手に泣いてるだけですよね〜? 』
木村「 冷酷過ぎない!? 」
『 嘘だよ笑 』
笹岡「 あなたちゃん…… 」
『 いつもうるさいのに卒業式では誰よりも涙流す人みたいな顔しないでください 』
笹岡「 的確なんだよなぁ…笑 」
『 大丈夫だとか頑張れだとか無責任なことは言えませんよ。でもここまで頑張った自分をとにかく讃えてください。笹岡くんの優しさはちゃんとみんなに知れ渡ってますもん。 』
笹岡「 ……いやぁ、本当にあなたちゃんに出逢えてよかった笑。選ばれても脱落してもここまで来れてよかったな、 」
しょんぼりモードの練習生もそりゃいる。
精神的にキツイ人の方が多いんだろうなぁ。
栗田「 …朝からそこにおらんといて、泣くから 」
『 待ってそれ存在否定してない!!? 』
栗田「 してないことはないなぁ?笑 」
『 それしてるじゃん笑 』
栗田「 だっていつも通りなあなたがここにおるんやで?なんか嫌やん……最後みたい。 」
『 ……航平、私航平に逢えてよかったよ? 』
栗田「 なんや、急に 」
『 ……頑張ってこい、 』
栗田「 もちろん。 」
泣いても笑ってもこれが最後 。
そう考えると息が詰まった 。
神様 、お願いします 。
誰がどうなるかまだ分からない 。
でも 、絶対 、絶対絶対 、
彼ら全員に幸せが訪れますように 。
彼らに笑顔の花が咲きますように 。
そう願いながらスタッフルームに入る 。
映像が流れてるけど 、
怖いからイヤホンを付けて仕事に集中 。
収録が終わった頃に 、
21人のメイク直しをしに行く 。
お願い 。
そう心の中で何度も祈った 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。