景瑚 side
今日は俺の家にお客さんが来てる。ひとり。
そして俺はなぜかそいつの恋愛相談にのってる
鶴房「 でもさ…絶対振り向いてくれないんだよね 」
この男、鶴房汐恩は
俺の妹、佐藤あなたと
両片思いなのだ。
『 あなたもお前に気あると思うけどな 』
鶴房「 …………絶対ないよ。この前なんかね、LINEの返信にビックリマーク付いてなかったの。なんか悲しいじゃん!!? 」
『 お前はJKか。そもそもアイツが返信してくれるだけでも有難く思えよ? 』
鶴房「 ……え? 」
『 いやだって電話を省いて、俺とあなたでやり取りしたの半年ぐらい前だぞ?それ以降は俺送り続けてるのに既読無視だかんな? 』
鶴房「 ……それは兄弟特有のやつでしょ 」
ダメだ、効果なし。
汐恩も、あなたもネガティブなんだよなぁ
鶴房「 ていうか景瑚くんと………… 」
また始まったよ…
景瑚くんとあなたちゃん距離近くない!?
でしょ知ってるよその話16回目。
そう思って身構えてたらドアが開いた
佐藤「 お兄ちゃーん……………ってはあ!? 」
鶴房「 …………うわ 」
『 なに、どした急に 』
佐藤「 いや…暇だったから来ただけ 」
『 仕事は? 』
佐藤「 休み! 」
『 …………ヤバいトイレットペーパー買ってねえ!!今すぐ買いに行かないと!!じゃあね!! 』
佐藤「 は? 」
鶴房「 ちょっ……!!! 」
そう言って家を出るふりをする。
廊下から覗いてます。
いや俺恋のキューピットっ!!!!!!
…………ごめんなさい。
佐藤「 ……なん…で 」
鶴房「 …せっかく景瑚くんと話せたのに 」
佐藤「 は?ここ私の家でもあるから 」
鶴房「 あっそ。 」
なんでそんなに冷たいんだよ二人とも…
俺の前ではあんなにデレデレなのに??
佐藤「 ………… 」
鶴房「 ………… 」
なんか喋れええええ!!!
鶴房「 ……喉乾いた 」
佐藤「 ……飲み物くれと? 」
鶴房「 うん 」
佐藤「 ……はあ………… 」
よしっ、汐恩ナイスだぞ!!!
お前さっき水がぶ飲みしてたから絶対喉乾いてないよな?
でも沈黙を破ろうとしたんだよな
最高じゃん!!!!!! (うるさい)
佐藤「 ……はい 」
鶴房「 ……ぷはっ、笑 」
佐藤「 なによ 」
鶴房「 オレンジジュース?笑 」
佐藤「 だって冷蔵庫飲み物なんも入ってないんだもん!!さっき私が買ってきたオレンジジュースしかなかったの。そもそもそれ私のなんだから文句言わないで飲んでくれる? 」
鶴房「 水道水で良かったのに、笑 」
佐藤「 とか言いながらガブガブ飲んでるじゃん 」
鶴房「 …そんなまじまじ見るなよ 」
佐藤「 ……だって私まで喉乾いてきたんだもん 」
鶴房「 ………… 」
佐藤「 …水道水飲も 」
鶴房「 え…ちょ、待って 」
佐藤「 ……ん? 」
ヤバい見入っちゃった
何この2人もう付き合っちゃえよ!!!
鶴房「 水道水って…体に良くないんだよ 」
佐藤「 ……いいよ、別に 」
鶴房「 いやいや… 」
佐藤「 全然大丈夫だよ笑 」
鶴房「 …………はいっ、!!! 」
不器用汐恩くん。
オレンジジュースを渡しました。
佐藤「 ……いいよ、あげるよ?それ。 」
鶴房「 …ダメ、飲んで 」
佐藤「 しかもそれ汐恩くんの飲みかけじゃん 」
鶴房「 ……それが嫌なの? 」
あ、これガチショック受けてるわ
飲んであげてあなたっ!!!!! (うるさい)
佐藤「 いや…別に……嫌って…いや…なんて言うか…… 」
多分あなたは緊張してるんだよ。
関節キス!!!!
意識しすぎて飲めないんだよね分かるよ分かる
鶴房「 ……飲まないなら俺が全部飲むよ? 」
佐藤「 え、……あ 」
鶴房「 ほらっ、欲しいんだろ?素直になれよ笑 」
お前も恋に素直になれっ!!!!!! (うるさい)
佐藤「 …あ…ありがとう 」
鶴房「 そもそもお前のだし、 」
佐藤「 ……そっか、笑 」
鶴房「 …てかなんで正座してるの? 」
それ俺も気になってた。
あなた、ずっと正座してるんだよね
緊張してる?
佐藤「 えっ、や…別に…… 」
鶴房「 ……ほんとお前ってバカだよな笑 」
佐藤「 …………汐恩くん嫌い 」
鶴房「 とか言いつつ、俺があげたイヤリングずっと付けてるよね、俺のこと好きすぎじゃない?笑 」
佐藤「 っ……それは…//// 」
…は?イヤリング?
そんなの知らないんだけど聞いてないんだけど!!
しかもイヤリング?
ピアス開けてないの??
鶴房「 ピアス開けないの? 」
佐藤「 だって…怖いもん 」
鶴房「 そんな痛くないのに笑 」
佐藤「 いやいや、体に穴開けるって考えると……無理無理!! 」
鶴房「 ……佐藤って怖がりだよな。心霊スポットとか行けないでしょ? 」
佐藤「 …………怖いもん 」
鶴房「 幽霊とかいるわけないじゃん笑 」
佐藤「 いや絶対いるから!!!もう怖くなってきたじゃん… 」
かわいいな。
多分汐恩もそう思ってるだろう
目がトロンってなってる
そんな呑気なことを考えてたら事件が起きた
佐藤「 っわああ!!!! 」
……停電だ。
そう言えば台風が来るとかなんとか言ってたな
鶴房「 ……停電? 」
佐藤「 むりむりむりむり 」
鶴房「 雨強かったもんなぁ、 」
佐藤「 …………汐恩くんいる? 」
鶴房「 …ここにおるよ笑 」
佐藤「 どこ………… 」
鶴房「 ここにいるから、大丈夫だよ笑 」
そう言いながら汐恩はあなたの手を握った
Love so sweet流しちゃっていいですか!!
佐藤「 何も見えないっ… 」
鶴房「 大丈夫やって俺がついてる。 」
あれ、なんか急に距離近くなってる
そう言えばあなたって暗いところ苦手なんだよ
佐藤「 っ……怖い…… 」
鶴房「 大丈夫、すぐ明るくなるから。ちょっと待っててな、懐中電灯探してくる 」
おお、ごめんこの家懐中電灯ないんだわ
佐藤「 …待ってっ………!! 」
鶴房「 …………え…? 」
佐藤「 ……怖いから…行かないで……泣 」
……え、可愛いむり
鶴房汐恩くん、理性を保てるのか!
鶴房「 っ……ごめん、おいで? 」
佐藤「 うっ…………泣 」
……あ、ハグした
汐恩が!!
あなたを!!
引き寄せて!!
ギュッって!!
やば!!
頭ポンポンもした!!
一生電気つくな!!!!!
鶴房「 怖いなぁ、大丈夫やで、俺がいるから。 」
佐藤「 汐恩くんっ…… 」
ちょっとついていけてないの俺だけかな??
あれ????
「 佐藤バカ 」「 汐恩くん嫌い 」
とか言ってなかったっけ?
キャラ変??
あれ??
ついていけてねぇぇ
鶴房「 あ、ついた……よかった… 」
『 ……あ 』
佐藤「 ……え 」
鶴房「 景瑚くん!!? 」
佐藤「 わっ、わわわ!!汐恩くんごめんなさい! 」
鶴房「 いや別に大丈夫だけど笑 」
佐藤「 ……お兄ちゃん!!!? 」
『 今気づいたの!? 』
鶴房「 いつから居たんですかぁ〜! 」
『 最初から居たわ!!トイレットペーパー買ってねぇわ!! 』
佐藤「 ……え 」
あーあーーカオスすぎて収集つかない
誰か助けてください。
とりあえず、
その後は三人でたくさん遊んで解散しました。
ちゃんちゃん。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。