大量に溢れ出た涙も、落ち着いてきた。
『 …藤牧くん毎度ごめんね。 』
藤牧「 ほんと俺タイミング良くない?笑 」
『 うん、ヒーローだよ笑 』
優しく微笑む藤牧くん。
……汐恩くんもよくこの顔してたな、
藤牧「 あなたちゃん…? 」
『 わっ、なんでない、ごめんごめん。笑 』
藤牧「 …………辛いんでしょ? 」
『 ……もう、いいの。 』
藤牧「 ……本当に? 」
『 …うん。もう……あんなやつ、知らないもん。 』
諦めろ。
諦めるんだ自分。
汐恩くんと私じゃ釣り合わなすぎる。
……諦めないと。
藤牧「 ……あなたちゃんがいいなら、俺は口出しする気はないけど。でもいつか後悔する時がくるかもしれないよ 」
『 ……でも、………大丈夫。もう大丈夫。 』
自分に言い聞かせるようにそういう。
大丈夫だ。
いつかは、汐恩くんのことなんて、
忘れられる日が来るんだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。