まーーーそれから1ヶ月ほどたち、
練習生が60人に絞られた。
選ばれた練習生60名は合宿生活が始まった。
都内にあるタワマンみたいなホテルを貸切らしい。
いいなーって思ってたら私も誘われた。
やったーって思うじゃん?
でもなんでただのメイクが…?
って疑問になって聞いてみたの。
そしたらさ、
「 メイクさんは朝早い時間の出勤が多いから…家からだと負担が多いでしょ?しかもあなたちゃん遠いって聞いたから、 」
嬉しいけど朝早いんだ…
まあしょうがないか。
いやそんなことよりさ、
私の部屋最上階なんだよね。
あれちょっと矛盾起きちゃったよね……?
うん。十二階ぐらい。
しかもさ、エレベーター使うと練習生居そうだから階段なのよ、
『 疲れたぁ…… 』
「 あれ、佐藤さん? 」
『 え? 』
急に名前を呼ばれて振り返る
そこには目が大きくてパチパチな子がいた。
『 えっと…… 』
「 栗田航兵です!佐藤あなたちゃんですよね!有名ですよ! 」
『 ……え?有名?何がですか? 』
栗田「 めっちゃ可愛いメイクさんがいるってみんな言ってます!ていうかなんでここにいるんですか? 」
『 多分人違いですね、メイクは早朝の出勤が多いそうなので特別にここの部屋借りてます。 』
栗田「 へー、そうなんだ!しゅがちゃん何歳? 」
『 "しゅがちゃん"?いや佐藤、シュガー、しゅがちゃんってなるのやめてもらっていいですか?22歳です。女性の年齢聞くの失礼ですからっ! 』
栗田「 キレッキレだね笑。22?高校生かと思った笑 」
『 そういう栗田さんは何歳ですか? 』
栗田「 19です! 」
『 ……私の方が年上ですよね?なんでタメ口なんですか? 』
栗田「 ……まあまあ!気にせずに!ていうかなんでそんな大荷物?笑 」
確かに両手に紙袋を抱えてる。重い。
『 部屋でメイクの練習するので、練習道具を家から持ってきたんです。 』
栗田「 ふーん……家って実家? 」
『 いや都内です。兄と二人暮ししてます。 』
栗田「 そうなんだ……重いでしょ、持つよ! 」
『 え……?いいんですか!? 』
栗田「 声でっか!笑 」
『 わっ、ごめんなさい…/// 』
栗田「 ははっ笑!すぐ顔赤くなるじゃん!笑 」
『 バカにしないでください〜〜! 』
栗田「 ごめんごめん笑 」
十二階まで雑談をしながら登る。
結局部屋まで持ってくれて別れた。
栗田くん、年下って感じだな (?)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!