第199話

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2023/03/22 19:37
-ミナside-


あなたの下の名前と電話した日から10日後。
私は、今澪さんと空港にいる。
ほんまにすっごい悩んだ。
電話の感じからして、無理してるし強がってた。
それに私を拒否してる雰囲気もあった…
けど、どうしても放って置く事が出来ひんかった。
先生、そろそろ乗りましょう。
長いフライト。
ずっと、あなたの下の名前の事だけを考えてた。
"ご飯ちゃんと食べとるかな?"とか、"体調崩しやすいから大丈夫かな"とか…
あなたの下の名前の事ばっかり考えてたら、眠気なんか全然感じやへんだ。
全然寝てなかったですけど
大丈夫ですか?
アメリカに着いて、荷物を待ってる間に澪さんにすごく心配されてしもた。
ミナ
ミナ
大丈夫です。
無理はしないで下さいね?
じゃあ、行きましょうか。
タクシーで約1時間くらいかな?
着いた所は、おしゃれなマンションの前。
慣れた足取りでマンションに入ろうとする澪さんの後に続く。
……出ない。
仕方ないけど、合鍵で。
インターホンを押しても返答なし。
それでも、澪さんの合鍵?で開くドア。
先生、閉まる前に入って下さい。
もうすぐ会えるかもしれんって思ったら、少し足がすくんでしもた。
急いで澪さんを追いかけてエレベーターに乗る。


どんどん上がっていく階数。
それと一緒のように私の心拍数もあがっていく。
どこか出掛けてるのかな?
扉の前で、もう一度インターホンを押しても返事はなかった。
何の戸惑いも無く、さっき使ってた鍵で扉を開ける澪さん。
いないのー?
ドアが開いて、一瞬で嫌な予感に包まれる。
他人を拒否するみたいに漂うタバコの匂いと重たい空気感。
あの馬鹿。
部屋でタバコ吸うなって言ったのに…
中に入って行く澪さんに着いて行く事が出来ひん。
……先生!
すみませんが、水を持って来て
もらえませんか?
え?お水?
戸惑いはあったけど、意を決して中に入る。
とりあえず、何かあった事は分かるから勝手に開けて申し訳ないけど冷蔵庫から水を取って声がする部屋に入った。
ミナ
ミナ
お水持っ……
何なん……これ…?


床に散らばった大量の薬。
灰皿に入り切ってないタバコの吸い殻。
テーブルにはお酒の空瓶。
それに…
会ってない期間、約20日やで?
けど、目の前で意識なくて澪さんに介抱されてるあなたの下の名前は…
痛々しいほどに痩せていて、見てるこっちがツラい姿やった。
ありがとうございます。
あなたの下の名前、聞こえる?
澪さんが脈とかをみながら、数回呼ぶとゆっくり開いた瞳。
あなた
…澪?
はぁ……
何やってるの?
一人暮らしでぶっ倒れてたら
誰も気付かないでしょ?
まだ、私には気付いてへん。
きっと、まだ意識がしっかりしてへんのやろなぁ…
あと、お客さん連れて来たから!
あなた
……客?
あなたの下の名前の視線がゆっくりと私の方へ。
驚くこともなく、ただジッと私を見てる。
あなた
……何しに来たの?
冷たい声。
クラスを受け持った時と一緒。
冷たくて、寄ってくんなオーラ全開で……
そんな言い方しない。
私が無理矢理連れて来たんだから!
あなた
……タバコ吸って来る。
澪さんを振り切って、ベランダに行った背中は…
誰かに助けを求めたくても出来んくて、もがいて苦しんでる。
私にはそう見えてしまった。

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