第6話
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your side
はるかの間抜けな声が聞こえる。
何が起こったか自分でも分からない。
目の前に知らない男の人がいて、
私のお腹には……
包丁が刺さっている。
あたりがだんだんと騒がしくなってきた。
あちこちから悲鳴が聞こえ、
私の周りから人がいなくなっていく。
すると突然、男が私のお腹から
包丁を抜いた。
よりいっそう、叫び声が大きくなる。
だけど、私はそんなあたりのざわめきが
どんどん、どんどん
小さく、遠くなっていくように感じる。
息ができない。
視界がぼやける。
私は膝から崩れ落ちてしまった。
目の前にはお腹から流れ出た血の水たまり。
ねぇ、神様…どうしてですか?
はるかの叫び声が聞こえる中、
私の意識は、
ここで途切れた。