第24話
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🐭 side
2012.2月
眠い……
昨日夜ふかしをしてしまったせいで、今日は朝からずっと眠い。
バスの中で、ちょっと寝るか……
なんて思っていると、さっそくバスが止まった。
バスに乗り込んだ俺はとっくに睡魔に限界がきていて、
普段なら二人席は誰かが座っていたら座らないが、今日という今日は睡魔に勝てず座り込んだ。
そして、あっという間に俺の意識はなくなっていった……
︙
耳もとで誰かの声が聞こえる。
今度ははっきり聞こえた。
ん…?バス停……?
ヤベっ……寝過ごした!?
自分の置かれている状況を思い出し、焦って体を起こす。
ボーーっとしている頭をフル回転させて、隣に座っている女性に聞いた。
そう笑ってこたえてくれた彼女と目があった瞬間、俺は時が止まったように動けなかった。
彼女の透きとおるような声、口角を少しだけあげて笑う表情、髪をとかすような仕草…
彼女の全てが僕の心を奪っていった。
彼女の声ではっと我に返る。
よかった…危うく寝過ごすところだった……
ほっとしながらもふと、疑問に思う。
すると彼女は俺のかばんを指差した。
彼女の推理力に驚きつつもふと視線を落とすと、見覚えの無いブランケットが膝にかかっていた。
そう言って少し照れる彼女を横目に、俺はすばやくブランケットを畳んで彼女に差し出した。
はにかみながらかばんにブランケットをなおす彼女の肩と俺の肩とがぶつかった。
いや、ぶつかったというより触れた…?
そんな一瞬だったのにも関わらず、
彼女と触れたところが熱くて、
心臓の音が聞こえてきそうで、
俺は彼女に支配されていた。
彼女の行動一つ一つにこんなにも心が惑わされている自分に自分で驚いていると、バスが止まった。
このバスを降りれば彼女にはもう二度と会えないかもしれない。
だけど俺は、
こう一言だけ言ってためらいもせずにバスを降りた。
けれど焦りはなかった。
きっとまた会える。
そう思っているから。
ミンユンギ
運命の人に出会いました。