🐰　side




2012.2月









ここどこ……？





地図を片手にあたりを見回しても、分からない。





迷ってしまった……





携帯の充電はないし、人見知りだからだれかに聞くのもためらってしまう。





どうしようもなくて途方に暮れていると、

後ろから声をかけられた。





驚いて振り向くと、僕より少し年上（だと思う……）お姉さんがいた。





そのお姉さんと目があった瞬間、僕は時が止まったように動けなかった。





お姉さんの優しい声、柔らかな表情、耳をさわる仕草…





お姉さんの全てが僕の心を奪っていった。

お姉さんの声ではっと我に返る。

中学生にもなって迷子なんて情けない……

だけどお姉さんはこんな僕を笑わずにいてくれた。





それどころか、

と、提案してくれた。

断る理由があるはずも無く、お姉さんにお願いした。

そう言って僕に笑いかけるお姉さんに見惚れながら、





あるき出したお姉さんの後を着いていく。





すると、前からすごいスピードの自転車が近づいてきていた。





お姉さんは僕のために地図を見ていて、気づいていないようだった。





慌ててお姉さんに駆け寄って腕を掴み、自分の方に引き寄せた。

お姉さんが小さく叫んだと同時に、横を自転車が駆け抜けて行った。

お姉さんに怪我がなくてほっとしたのもつかの間、

照れながら僕にお礼を言うお姉さんを見て気がつく。





まだ、お姉さんの腕を掴んだままだった。

パッとお姉さんの腕から手を離す。

お姉さんが僕にお礼を言っていたのはわかっていたけど、僕はそれどころじゃなかった。





自分から掴みに行ったのに、





お姉さんに触れた手が熱くて、





心臓の音が聞こえてきそうで、





僕はお姉さんの顔を見ることができなかった。





そして僕は確信した。





お姉さんは僕の






















運命の人だと。

お姉さんの声でまた、はっと我に返る。

もっと可愛く、年下らしく言えればいいのに、こんなときにも人見知りが邪魔をしてしまう。

ため息をつきそうになっていると、お姉さんは行ってしまった。





名前くらい聞けばよかった……そう思ったけれどなぜか焦りはなかった。





きっとまた会える。





そう思っているから。






















チョンジョングク

運命の人に出会いました。