キリンは招かれたハックの家へ行くと、ちょうどハックが外に出てきたところだった。
そんなハックの声に促されてキリンは家に入った。
ハックの部屋は白と黒が印象的であり、清潔感があふれていた。
キリンの部屋とはくらべものにもならない程に片付いていた。
そういいながらハックはペットボトルに入れられた水をキリンに渡した。
その水をキリンは、
などと気楽にいいながら一気に飲み干すのだった。
それから、2人はいろいろな話題を楽しそうに話した。
キリンはよっぽどのどが渇いていたのか、話している間、片手でペットボトルを持ちながら時々飲んでいた。
10分ほどたってから、キリンは眠気を訴えるようになった。
目はとろんとしており、口からはわずかによだれを垂らしている。
言いかけた途中でキリンは限界に達したらしく、持っていたペットボトルと床に落として眠ってしまう。
鈍い音をさせ。
入っていた水がハックの胸元に飛び散り、パーカーに大きなシミを作った。
冷たく、気持ち悪くしみわたってく。
心の中で謝罪の言葉をつぶやきながら、ハックはロープとガムテープを取り出した。
ハックは自分に憎悪の類の言葉を向けるものの、抑えられない気持ちがあった。
キリンさんが自分のものになればいいのに。
ゆっくりと立ち上がり、涙を流しながら低くつぶやく。
ハックの瞳の闇は深まるばかりで。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。