第5話

また、明日。
865
2019/10/07 11:02
先輩に手を引っ張られながら、少し走った。

チラッと元来た道を見てホッとしたような表情を浮かべる先輩。
岸優太
どうしたんですか?
言葉が見つからず、咄嗟に謎の聞き方をしてしまう。
宮田○○
え?…………あぁ……。
岸優太
??
戸惑いながらもう一度来た道を確認して話し始めた。
宮田○○
自分で言うのもなんだけど……

勇太が私の事好きみたいで、
岸優太
……
それは今日1日で嫌という程分かっていた。
宮田○○
昔は、ほっぺにキスとかしてて可愛いね〜って言われてたんだけど、

段々エスカレートしちゃってね。

勇太が小学校5年生の時に勇太が私を襲おうとして……
岸優太
ッ…………







岸優太
すいません……変なこと聞いちゃって……
宮田○○
ううん!全然!大丈夫だから……気にしないで?
岸優太
……はい
宮田○○
…………
宮田○○
続き……あるけど聞く?
優太は悩んだ……



この後を聞いたら、どうなるのか……

自分が傷つくのではないか……



それが怖かったが、優太にはそれ以上に怖いものがあった。



それは自分が知らない事であなたに何かあった時

助けられないのでは無いかという恐怖だった。
岸優太
先輩がいいなら…………聞かせて下さい。
宮田○○
…………大丈夫だよ。

じゃあ続き話すね。
岸優太
はい。
宮田○○
それで……その時は親に見つかって何ともなかったんだけど……

その後お母さんの転勤で

私の家族が引っ越すことになってね。
岸優太
…………
宮田○○
まぁ……その後は私も普通に過ごしてて。
宮田○○
そのまま就職して、普通に仕事してたんだけどね。
宮田○○
岸くんも知っての通り勇太がうちの会社に入って……
宮田○○
勇太の親には勇太から

『たまたま同じ会社に就職した』

って説明しててね。
宮田○○
私の父親も『もう大人だし……』

って特に何か言うことも無くてさ。

でも私の母親は

『いつでも帰っておいで』

って言ってくれてるんだけど……
岸優太
そうなんですね……
優太は話が終わって静かになったあなたの方を、

チラリと見た。
宮田○○
(震)
岸優太
先輩…?
宮田○○
あ、私の家ここだから!
岸優太
あ、そうなんですね!
宮田○○
ありがとう。
岸優太
え?
宮田○○
家。こっちじゃないのに……

わざわざ送ってくれたでしょ?
岸優太
え?なななななななんで!?
宮田○○
本当はあそこで真っ直ぐ行くんでしょ?
岸優太
なんで知ってるんですか!?
宮田○○
え?そりゃ…………あ、違う!違くて!
宮田○○
勇太と同じ方向だったら、引っ越そうと思って!

それで会社に置いてある個人情報見ただけで!

理由もちゃんと会社に話してるから!
岸優太
え?
宮田○○
ん?
岸優太
あ、そうなんですね!
宮田○○
う、うん!
宮田○○
(危ない……岸くんのこと知りたくて勇太を口実に調べたなんて……)
宮田○○
(死んでも言えない……絶対引かれちゃうよ……)
俺の事知りたくて調べたんじゃないんだ…………

まぁそうだよな。先輩は俺なんか眼中に無いだろうし……
岸優太
じゃ、じゃあ俺帰ります!
宮田○○
うん!気をつけて!
岸優太
ここ。
宮田○○
岸優太
ここから帰れそうなんで、こっから帰ります。
宮田○○
え?そこ……道じゃないよ?
岸優太
大丈夫です!(๑•̀ㅂ•́)و✧
宮田○○
そっか……
宮田○○
じゃあ!また明日!
岸優太
あ!あの!
宮田○○
岸優太
明日……会社に一緒に行きません?
宮田○○
あ、……え?
岸優太
や、やっぱりダメですか……
宮田○○
いや……
岸優太
宮田○○
明日……会社の創立記念で休みだよ?
岸優太
!?
岸優太
…………//////
岸優太
あ、明後日!明後日一緒に行きましょう!
宮田○○
ッ…………////
岸優太
…………ゴクリ
宮田○○
もちろん!よろしく!///
岸優太
はい!///
岸優太
では!また明後日!///
宮田○○
うん!//
岸優太
(先輩……俺よりも神宮寺に気を取られてる……)
岸優太
(まぁ……あんなことあったしね……そりゃそうだ……)
岸優太
(俺が今できるのは、先輩を神宮寺から守る事……)
岸優太
(それだけだ……)

プリ小説オーディオドラマ