◯◯side
私の彼は浮気性の人だった。
付き合ってから始めの頃はすごく優しくて、
愛されているなぁと日々実感していた。
でも、付き合って半年くらいのとき
私の知らない女性と2人っきりで歩いていたのを見てしまった。
手を…繋いでいたから。
そりゃ、誰もが浮気だと思うでしょ?
だから、家に帰ってそのことを彼に聞いてみたんだけど…
そう言われてしまった。
私…彼女なんだよ?関係あるじゃない…
何度もそう聞いてみたけど、
だるそうに私の話なんて聞いてくれなかった。
浮気はその1回では終わってくれなくて、
もう何回したか覚えてないくらい…笑
色々思い出せば、よく耐えてきたと思う。
思い出せば出すほど溢れてくる涙と
まだ好きなのかなって思う未練がましい気持ち。
それと、彼を憎む黒い感情。
さっさと振れば良かったのにね。
なんか…くだらなくてしょうもない…笑
ガチャ
北人が帰ってきたことに気付いて、
急いで涙を拭った。
それと同時に私のおでこに落ちてきた大きな手。
おでこに彼の手が触れただけなのに…
じわじわと感じる熱。
なんでよ…
それは…きっと違う意味なのかもしれない。
拭ったはずの涙はまだ止まってはいなかった。
いきなり泣き出した私にテンパっていた北人。
ギュッ
なんかもう、どうしたらいいのかわからなくなった。
彼と同じ空間に戻りたくないのに、戻らないといけなくて。
そしてあなたに、今までとは違う感情を持ってしまって。
この辛い気持ちをわかってほしくなった。
だから、あなたに思いっきり抱きついたの。
自分勝手だって、全部わかってる…
だから…
これでいいんだ。
気持ちを伝えきって、振られて、全部忘れて。
また彼のところへ戻れば…
それで…いい…んだ。
なのに
ギュッ
強く抱きしめかえされて…
そんなの、忘れられるわけないよ。
え…?
彼氏が浮気を繰り返していて耐えられないこと。
だけど、そんな彼をまだ放っておけないでいること。
そして、こんな状態の私を支えてくれた北人のことを好きになってしまったこと。
全部伝えた。
北人に相談してようやく振る決心がついて
翌日、1人で家に帰った。
そして、思いっきり振ってやった。
もう浮気しない、なんていつも通り引き止められたけど、
いつもと打って変わって本当に今日でサヨナラした。
はぁ…すっきりした。
そして、北人に感謝の気持ちでいっぱいになった。
後輩は私の待ち人だった。
end.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。