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第1話

磁石たち
146
2018/04/26 13:03
あんたのために私は働いているのよ!?
家事ぐらいあなたがやりなさいよ!!
─ハァ…どうせ暇なんでしょ?
いつもこうだ。
自分の都合の良いことばかり。
妹にはお金をかけて、私は不要粗大ゴミ。
本当に嫌い。
でも──
美琴
美琴
だよね(苦笑)
今からやるよ。
仮面を何重にも重ね、自分を消すかのように母にニコリと微笑む。


──自分じゃない自分。


すべてを内に秘め、耐えていた。
ただ、中2の春。
彼らと出会ったせいか、方位磁針が磁石(彼ら)によって方向が曖昧になった。
でもそれが、私の幸せへの逆転劇の道だった。
美琴
美琴
(知ってる人いない…涙)
名簿を見る限り知らない名前がずらりと並んでいる。
指定された席に着き、隣の席を見ると、神谷光紀という名前があった。
噂で耳にしたことは何度かある。
サッカー部で有名だった、かなりの強者らしい…。
神谷君に話しかけようとしたものの、一向に切り出せなかった。
そのとき、私の前の席の女の子が話しかけてきた。
誇音
誇音
美琴ちゃんだっけ??
私、野垣誇音(のがきこのん)。
よろしくねーっ!!
美琴
美琴
うん。
私は、芳賀美琴(はがみこと)。
美琴でいいよ。
誇音
誇音
ミコト?
んー、みこっちゃんはダメー??
美琴
美琴
全然良いよ笑
私はなんて呼べば良いかな??
誇音
誇音
コノとかコノンで(゜∀゜)
美琴
美琴
わかった、コノって呼ぶよ
誇音
誇音
ありがとーう!
コノは優しく、フレンドリーだった。
一人で友達のいない私に声をかけてくれたんだ。
するとコノは私の隣の席の神谷光紀君にも声をかけ始めた。
そう思ったら…
誇音
誇音
光紀ー!!
なんでシャイなのーー笑笑
神谷光紀
神谷光紀
うるさい…
コノは神谷君のことを知っているらしい。
神谷君はコノを睨みつけている。
怖い人なのだろうか。でも、そこまで嫌っているようには見えない。
賢也
賢也
なんだよ光紀~
シャイなら最初から言ってくれよ~
その声は私の後ろから聞こえてきた。
誇音
誇音
緋色うるさーい
賢也
賢也
ごめんねーこのちゃん♡
誇音
誇音
ううん、1回死んでこよっか?♥
賢也
賢也
このちゃんと一緒ならいいよ♡
誇音
誇音
何言ってるの?
私じゃなくて、緋色が大好きな光紀と一緒だよ?♥
神谷光紀
神谷光紀
俺を巻き込むな。
賢也
賢也
ま、それはそれでいっかー
神谷光紀
神谷光紀
一人で逝ってこい。
賢也
賢也
そんな悲しいこと言わないでぇぇぇぇ
神谷光紀
神谷光紀
情緒不安定。
彼らが永遠とコントみたいな会話をして、私はずっと笑いをこらえながら見ていた。
誇音
誇音
変でしょ?私たち。
美琴
美琴
あ。うん笑
誇音
誇音
みこっちゃんって、笑わないの??
美琴
美琴
え…?
心の底から笑ったことのない私にとって、その言葉は私の心を濁らせた。

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