第109話

お 土 産
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2022/10/12 08:00


ー あなた side ー



海月のコーナーを抜けると白白とした照明が眩しかった

自然と私もマサイも目を細めた

少しだけ気まづい空気

海月のコーナーでのマサイの発言

あれを聞いて何とも思わない方が可笑しい

あんなの嫌でも意識してしまう


「 あ 、お土産あるね 」

「 買おうよ記念に何か 」


我ながら当たり障りの無い発言

お互いに刺激を与えないように


「 じゃあお揃いで買おうよ 」


このクソ鈍感やろー

今未成年の主張をするなら私はそう叫ぶ


「 そうだね 、 」


私は彼のお願いを拒否できない

此処に連れて来てもらったのもある

でもそれ以上にあの眼で見られると頷くしかない

何処までも澄んでいて純粋な

真珠の様な艶やかな瞳

そんな眼に自分が映るのは勿体ない

映りたい女子は山ほど居るだろうに


贅沢だって分かってる

でもフレームアウトしたいとは思わない

" 友達 " としてそこに映っていたい

異性の友情は無い 、なんて言われるかもしれない

それでも映っていたい

勿体なくても嫌じゃない

あの瞳に見詰められるのは何故だか心地良い



後ろ指さされても良い

コソコソ悪口を言われたって良い

私自身に危害を加えられても良い

彼らに察されないように私は出来るから

いつもと同じ笑顔で君の瞳に映るから

その真珠の様な瞳だけは汚さないで欲しいな


___ これはただの私の我儘だけど








「 あなた 、 ? 」


その声と共に現実に引き戻される

あぁそうだ今お土産を物色してたんだ

目の前にはマサイの整った顔


「 … マサイちょっと近いよ 」


内心心臓ばくばくで私は言葉を発する

これ程表情筋に感謝した事はない

普通の女子なら顔に熱が集まってしまうだろう


「 あ 、わ 、ごめん 」


距離の近さに気付いたからかマサイが 2 歩ほど後退した

その手には何やら銀色な何かが握られていた


「 マサイそれ 、何 ? 」


そう言ってマサイの手を指さす


「 これ ? 」

「 お揃いでどうかなって 」


広げた手にはイルカのストラップ

シンプルなデザインで誰が付けていても違和感がない

センス良いんだなマサイって


「 シンプルで良いと思う 」


それだけ答えて他のお土産に目を移す

各々買う相手が居るだろうから





同じ委員会の可愛い後輩

ダーマとモトキにはステンドグラス風ブックマーク

ダーマはカワウソ モトキはペンギン


マサイは今回のお礼も兼ねて

無難にクッキーと学校で使えるクリアファイルとペン


お兄ちゃんにも日頃の感謝を込めて

亀があしらわれたロングタオル


シルクはベルーガが好きだと言っていたから

ベルーガが描かれたコップ



値は張るかも知れないが日頃の感謝に比べれば

いつもかなり皆にはお世話になっているから

喜んでくれると良いな

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