ー あなた side ー
あぁ … 痛い痛い ( ( (
袖の隙間から赤い手跡を覗く
他人から見たら虐待か心霊現象か ←
何にせよただならぬ事態だ
取り敢えずマサイにバレないように …
服の袖を長く伸ばし手跡を隠す
あ 、シルクとお兄ちゃんにも隠さないとな
面倒な事になったな … と改めて思う
痛みに耐えながら何気無い会話をマサイと交わす
今まで特に触れずに居たが … 何処に行くのだろう ?
駅のロータリーから少し歩いて人が増えて来る
実はあんまり人混みが得意じゃなかったりする ←
人が多すぎると目眩がする
あと普通に迷いそうになる ( ( (
でもまぁ … 今日は大丈夫だろう
シルクと違ってマサイは大きい
目立つので迷子になる事は無い
… だがその分視線が大いに集まる
その大半が女子からの目線
ただでさえ身長が高くて顔が良い
オマケにスタイルまで良いなんて …
視線を集めないわけがない
これで彼女が居ないなんて勿体無い
好きな人でも居るのだろうか … ? ?
そんな事を考えながら歩いていると前から声がする
「 あなた … ? 」
心配そうな細い声が聞こえる
人が大勢居て煩いはずなのに …
マサイの透き通る声は聞きやすい
ってそんな事を考えてる場合ではない
「 ん … ? 」
そう言って顔を上げると心配そうに眉を下げるマサイ
「 静かだったから … 人混み苦手 ? 」
マサイは勘が鋭いのだろうか
でも此処で迷惑をかける訳には …
「 ごめん … 苦手なんだよね 、 ? 」
とマサイは私が口を開くより先に謝る
「 言ってなかった私が悪いよ 」
「 気にしないで 」
それだけ告げて口角を上げる
その顔を見て余計にマサイは眉を下げる
「 無理しないで欲しい … 」
そう言ってマサイは手を差し出す
疑問に思い首を傾げると
「 手 … 握った方が安心するでしょ ? 」
こういう奴を天然タラシと言うのだろう
断るのも何だか可哀想だ …
私は無言でマサイの手を取り握った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!