第103話

人 混 み
818
2022/01/29 08:00



ー あなた side ー


あぁ … 痛い痛い ( ( (

袖の隙間から赤い手跡を覗く



他人から見たら虐待か心霊現象か ←

何にせよただならぬ事態だ






取り敢えずマサイにバレないように …

服の袖を長く伸ばし手跡を隠す



あ 、シルクとお兄ちゃんにも隠さないとな

面倒な事になったな … と改めて思う







痛みに耐えながら何気無い会話をマサイと交わす

今まで特に触れずに居たが … 何処に行くのだろう ?




駅のロータリーから少し歩いて人が増えて来る

実はあんまり人混みが得意じゃなかったりする ←


人が多すぎると目眩がする

あと普通に迷いそうになる ( ( (




でもまぁ … 今日は大丈夫だろう

シルクと違ってマサイは大きい

目立つので迷子になる事は無い




… だがその分視線が大いに集まる

その大半が女子からの目線



ただでさえ身長が高くて顔が良い

オマケにスタイルまで良いなんて …

視線を集めないわけがない




これで彼女が居ないなんて勿体無い

好きな人でも居るのだろうか … ? ?







そんな事を考えながら歩いていると前から声がする


「 あなた … ? 」

心配そうな細い声が聞こえる



人が大勢居て煩いはずなのに …

マサイの透き通る声は聞きやすい





ってそんな事を考えてる場合ではない

「 ん … ? 」


そう言って顔を上げると心配そうに眉を下げるマサイ




「 静かだったから … 人混み苦手 ? 」


マサイは勘が鋭いのだろうか

でも此処で迷惑をかける訳には …



「 ごめん … 苦手なんだよね 、 ? 」

とマサイは私が口を開くより先に謝る




「 言ってなかった私が悪いよ 」


「 気にしないで 」


それだけ告げて口角を上げる






その顔を見て余計にマサイは眉を下げる


「 無理しないで欲しい … 」

そう言ってマサイは手を差し出す


疑問に思い首を傾げると



「 手 … 握った方が安心するでしょ ? 」


こういう奴を天然タラシと言うのだろう

断るのも何だか可哀想だ …





私は無言でマサイの手を取り握った

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