急にいなくなってごめんな。お前に迷惑かけたくなかったんだ。きっと、優しいお前なら俺のことを止めるんだろうなって思ったからな。
俺たち死神は前にも言ったが、人間を死の世界まで案内することが仕事なんだ。そのために生まれてきた。だから、裏を返せばその仕事に適さないやつは、生きている意味がないってことなんだ。
今までの俺は、自分が死にたくないから人を必ず殺すようにしていた。俺だけじゃない、みんなやっている。この仕事は命がけなんだよ。でもな、お前に出会ってから何かが変わったんだよ。ひらみに死んでほしくないって思い始めた。
だから、俺はお偉いさんのところに行って交渉してきたんだ。だけどそのお偉いさん、めちゃくちゃ頑固でなかなかおっけーしてくれないんだよ。でもね、やっとおっけーもらったから、お前を生かすことができた。
でも、俺はもう二度とお前に会えなくなってしまった。ごめんな。
仕事ができない奴は消えてなくなるっていう決まりなんだ。だから、俺はひらみに会いたくても会えなくなっちゃった。
俺、ひらみと出会えて本当によかったよ。夏祭りに花火に、すごく楽しかった。
かき氷、今度は緑のを食べて見たかったな。俺が射的でとったクマのぬいぐるみ、大切にしろよ?
もうちょっと一緒にいたかった。もし、俺が人間としてひらみに会っていたら、なんてたまに考えるんだ。そっちの方がきっと長くいられた気がするし。
俺は、ひらみのことを忘れないから、ひらみも俺のことを忘れないでくれ。
ずっと空から見ててやるよ。夏にまた会えたらいいな。
じゃあ、元気でな。
大好きだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。