第15話

story fifteen
242
2018/07/25 15:03
クロと初めて会ったあの小さな広場に来た。
クロがいるんじゃないか、そんな希望を持って。
ひらみ
あ……
そこには、黒いパーカーを着て、フードをかぶっている小さな男の子が立っていた。
その子の周りには誰もいない。
まるで、クロと会った時みたいだ。
私は尋ねてみた。
ひらみ
あなたは誰?
小さな男の子
君はひらみさん?
私が疑問を問いかけたのに、疑問でかえってきた。
ひらみ
そう、私はひらみ
ひらみ
あなたは誰なの?
小さな男の子
僕は、クロさんからの『手紙』をひらりさんに渡しに来た死神です。
『クロ』という言葉を聞いて、心臓が跳ね上がった。
ひらみ
クロはいるの!?どこに!どこにいるの!!
小さな男の子
すみません、クロさんはもういらっしゃいません……
ひらみ
え……?
ひらみ
ど、どういうことなの?
小さな男の子
クロさんは、ひらりさんと会ったその後に、消えてなくなりました。
ひらみ
う、うそ……
ひらみ
なんでよ!
小さな男の子
この『手紙』が、ひらりさんに伝える最後の言葉です。
小さな男の子
僕は、クロさんが消える直前にこの手紙を受け取りました。
小さな男の子
『ひらみに、どうか渡してくれ』と……
小さな男の子
やっと、ひらみさんを見つけました。クロさんの願いが叶いました。
小さな男の子
クロさんはとてもいい人でした。
小さな男の子
ひらみさん、クロさんからの伝言です。
ひらみ
……
小さな男の子
『絶対に幸せになれよ』












号泣した。
私は手紙を読み、その伝言を頭の中でリピートして……
ひらみ
うん、私は絶対に幸せになるから……













絶対にクロのことは忘れたりしない。
いつか、また会おうね。
ひらみ
大好きだよ
そう、小さく呟いた。

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