第10話

#8
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2019/07/31 13:23
いだだだだだ。



真っ赤に腫れ上がった所に氷のうを当てると、
あなたは顔をしかめた。
日向翔陽
ごっ、、ごごごめんなさいっ!!
あなた
あなた
あ、大丈夫大丈夫!
何ともな…あ痛っ!?
日向翔陽
あわわわ
思わず叫んでしまったため、
日向は更にテンパる羽目になった。
あなた
あなた
あの、私はいいので試合続けて下さい
これ以上迷惑かけてらんないや。

1回目。
あなたは心の中でカウントした。
菅原孝支
じゃあ俺が付き添っとくよ〜
黒尾鉄朗
すみません、お願いします
知らない人が名乗りを上げてくれた。


爽やかな人だなぁー。
そこにいるだけで周りの空気が変わる感じ。

ぼやっと眺めていた。
月島蛍
出た方が良いんじゃないですかー?
また日向コイツのアタック食らいますよ?
ニヤニヤと背の高い人が言う。
日向翔陽
なっ、うるせー!
まるで大人に歯向かう子供みたい。

あなたは思ってしまう。


菅原孝支
まぁまぁ、月島もそう煽らないの。
でも正論だし、安静にするべ
あなた
あなた
あ、はい!
すみません
菅原孝支
いーのいーの。
日向が迷惑かけちゃって
逆にこっちが謝らなきゃっていうか…
あなた
あなた
いえいえそんな!
ぼーっとしてた私も…
そう言って、あの二人日向と影山のことを思い出す。
あなた
あなた
そういえばあの二人、凄いですね
菅原孝支
あぁ、日向と影山のこと?
あなた
あなた
そう…なんですかね?
菅原孝支
いやー、あの2人勢い凄くてさ。
俺みたいな才能より経験、
みたいな奴はすぐ抜かされそうだよ
あなた
あなた
経験も大事だと思いますよ?
菅原孝支
うん、そう言って貰えて嬉しいよ
にかっと笑う彼。

まぶしっ!!
太陽を間近で見たようなくらむ感覚を感じた。
教室に適当に入って、適当に椅子に座る。

沈黙が2人を包んだ。
あなた
あなた
あっあのー
沈黙に耐えられなくなったのはあなただった。
菅原孝支
はいはい
あなた
あなた
先輩って何のポジションなんですか?
菅原孝支
セッター。
影山と同じ。
あなた
あなた
えっ?先輩なのに
あの子が出るんですか?
菅原孝支
あぁ。
日向と影山の変人速攻を伸ばしたくて
あなた
あなた
変人速攻?
単純に技術の差もあるけど、
と菅原は自嘲気味に笑う。
菅原孝支
さっきのあのたたん、って言うやつ。
あなた
あなた
あぁ、そんな名前なんだ
菅原孝支
俺先輩なのにさ、
どんな顔して居ればいいんだろ
あなた
あなた
でも先輩は凄いと思います!
力が入って腫れた所が痛む。
でも続けた。
あなた
あなた
先輩は皆から信頼されてて、
居ると空気が変わるなぁって感じるし、
笑顔が素敵だと思います!
菅原孝支
あははっ、ありがとう
照れて笑う菅原に我に返り、
赤面する。
あなた
あなた
あっいやそういうのじゃないですよ?
菅原孝支
そういうのって?
きょとんとした菅原にぽかーんと口を開けた。

数秒してばっと顔が赤くなる。
あなた
あなた
えっとー、あのー、
菅原孝支
えーなになに?
言い淀むので更に菅原が身を乗り出す。
あなた
あなた
好き、とかそういうのじゃ…無いって…
菅原孝支
えっ、あっああ?
俯いて早口で言ったあなたに、
菅原は真っ赤になって慌てる。
菅原孝支
な…なんかごめんね?
あなた
あなた
いや、私も…
がらがらっっ!!
あなた
あなた
うひゃっっっ
菅原孝支
わああああっ
唐突にドアが開いて、
頭が真っ白だった2人は揃って悲鳴を上げた。

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