第5話

#4
3,223
2019/07/25 13:42
ピンポーン。ピンポーン。


玄関のチャイムの音が聞こえる。
先生か。それとも嫌々来たクラスメイトか。
こりないものだな、と思ってしまうのは
来た人に失礼かも知れない。

ヘッドホンから聞こえる音楽の音量をさらに上げ、
あなたはやっと自分の世界に入れた。


これで何回目だろう。


この罪悪感も、
きっと学校に行った時の辛さと天秤にかければ
圧倒的に軽いのだろうな、と思う。


学校という存在が少し遠くになってきた。



ばっ、とソファに仰向けになる。
ちょうど良い温度感と日の当たりで眠くなり、
あなたはそのまままぶたを閉じた。





かちゃ。かちゃかちゃかちゃ。


がちゃん。



玄関の扉が開いた気がした。
ただねぼけてるだけだ。
そう片付けた。


また誰かが来ていちいち起こされたら面倒くさいので
自分の部屋に戻って眠ることにする。







がたん。



あなた
あなた
(…ん?)
何か物音がした。

今度は絶対気のせいじゃない。


あなた
あなた
お母さん…?
嘘だ。

お母さんは午後に帰ってくる。

今はまだ午前だ。


いや、
何か大事なものを忘れて取りに来たのかも知れない。
あなた
あなた
お母さーん!!
しばらくしていかに自分が失態を犯したのか、
あなたは気付くことになる。




たん。たん。たん。



明らかに自分の知る音では無い足音。


階段を上ってきている。
あなたに、迫っている。
かちゃん。

ドアノブが引かれる。
あなた
あなた
お母さん…でしょ…?
ゆっくり、ゆっくりとドアが開く。
???
ばあああああああああああっっ
あなた
あなた
きゃあああああああああああっ
???
お母さんお母さんうるせーんだよ、
お馬鹿ちゃん‪w
まぁてめぇがうるせーおかげで
こうやって口封じ出来る訳だが
あなた
あなた
口封じって!
???
殺す
あなた
あなた
嫌だ!待って!
この前出来たスイーツ屋さん
まだ行ってないんです!
???
知らねぇよそんなもん
あなた
あなた
じ、じゃあせめて私の好きな…
???
刺し殺してやる
あなた
あなた
やめて!助けて誰か!!!
???
来る訳ねぇだろふざけんじゃねぇよ
???
ちゃんと邪魔者想定して鍵閉めた。
しかもここは2階。
残念だったな。
あなた
あなた
そ、んな、、
灰羽リエーフ
ばあああああああ
???
わああああああああああああ
あなた
あなた
きゃああああああああ
あなたは知らぬ侵入者と一緒になって叫ぶ。



よく見てみればリエーフだった。
あなた
あなた
リエーフくん!!!
灰羽リエーフ
あなた大丈夫!?
あなた
あなた
いやなんでリエーフくんここいるの!?
灰羽リエーフ
ジャンプして壁の凹凸に手ぇ引っ掛けた
あなた
あなた
怖っ…
???
化け物やん!
あなた
あなた
それな(  ˙-˙  )
灰羽リエーフ
ちょ、何意気投合してんの! 
あなたを殺そうとしてたんだよ!?
あなた
あなた
あ、そうだった((
再び侵入者を睨んで対峙する。



3人の間に、沈黙が訪れた。
あなた
あなた
リ、リエーフくんこれどうすんの?
灰羽リエーフ
いやわからん
あなた
あなた
嘘…
???
じゃあ俺が殺す奴が2人になった訳?
さっきまでの怯えはどこへやら、
急に脅しをかけだす。


ただ、この状況はなかなかやばい。
???
まずはそこのデケェガキから殺そう♪
侵入者はずいっとリエーフに歩み寄ると、
持っていたナイフを彼の目の前でちらつかせる。

リエーフがぎりっと歯ぎしりしたのがわかった。







ふと、
あなた
あなた
…ねぇ、なんか聞こえる
灰羽リエーフ
え?
???
あ?
あなた
あなた
あ、、警察だ!
???
警察だと!?…仕方ねぇ、
此奴ら先に始末して逃げるか
カーテンの裏で何か影が揺らめいた。
黒尾鉄朗
させねぇよ?
あなた
あなた
えと、、、誰だっけ!
黒尾鉄朗
黒尾だよ、黒尾鉄朗。
???
ハハッ馬鹿だなぁ。
能無しはいくら増えても変わんねぇよ
変わるのは死体の数だけ♪
黒尾鉄朗
どうでしょう?
黒尾が侵入者を挑発する。

それに乗って侵入者が黒尾に突進し、



あなた
あなた
!?
黒尾鉄朗
はい、終わりー
気付いた時には侵入者は黒尾の馬乗りの餌食だった。


ナイフで抵抗しようとするのを足で蹴飛ばす。




するとそこに
ちょうど良いタイミングで警察が乗り込んできて、
事件は無事幕を閉じた。




今あなたは再び静まり返ったリビングで、
黒尾とリエーフにお茶を出している。
あなた
あなた
今日は2人ともありがとうございました
灰羽リエーフ
いやいや、俺なんも出来なかったし
黒尾鉄朗
まぁそうだな、
他人の家の壁よじ登るリエーフが
見えたから通報して、
そのあと事情知って同じ事した
あなた
あなた
なんで2人ともそれ出来るんですか。
灰羽リエーフ
てか他人の家の壁よじ登るだけで
なんで通報しちゃうんすか!
あなた
あなた
それが普通だよ!
灰羽リエーフ
…てかさ、
あなた
あなた
(…あ、来る)
灰羽リエーフ
なんで学校来なくなったの?
あなた
あなた
(ほらやっぱり)
リエーフは信用しているので、

打ち明けようかな、とあなたは思う。



でも言ったってリエーフを苦しめてしまう。
そう思った。
あなた
あなた
…ごめん
灰羽リエーフ
そんな言葉が欲しいんじゃない
あなた
あなた
でももう行けないよ
灰羽リエーフ
なんで?
あなた
あなた
それは、、
言いよどむしか方法は無かった。

これ以上人を傷つけちゃ駄目だ。
あなたが学校に行かなくなった1番の理由だ。
黒尾鉄朗
じゃあバレー部来てよ。
あなた
あなた
えぇ?

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