- 9月中旬 昼休み
角名:何処で食べよっか( 食堂で席を探し )
治:……あ
角名:?治?
治:あなたッ
あなた:!治くん!今日食堂なの?
治:角名が学食やからさ
あなた:そうなんだ!
結々:あなたお待たせ〜行こか!
あなた:あ,うん!じゃあね!( 手を振り )
治:ん( 微笑んで手を振り返し )
角名:治の好きな子ってあなた?
治:せやで
角名:……何で?
治:?好きに理由なんているん?
角名:いや,気になっただけ
治:…はよ思い出したいんや…あなたのこと。思い出さんと伝えられん…
角名:思い出さないと伝えられないって誰が決めたの?
治:え?
角名:……別に思い出さなくても,今の治の気持ちが整ってるなら別に伝えたっていいんじゃない?
治:……
角名:……記憶戻るの待ってたら侑に取られるかもよ?
治:それは嫌や
角名:…まぁ,するしないは治の自由だけどさ
治:……
角名:…でもまさか……ほんとにね
治:……?
- 数日後 宮宅
治:?あれ……?なんやこれ……
( 自分の机の引き出しから可愛らしくラッピングされた紙袋を取り出して )
母:え?知らないわよ
治:母さんのじゃないん?
母:アンタそれ…彼女への誕生日プレゼントとか言うてなかったっけ?
治:え?紗羅の誕生日は確か12月……
母:?アンタもう違う子と付き合っとるん?
治:え?
母:?
治:…母さん,俺の彼女って……
母:何言うてるん?あなたちゃんやろ?
治:…え…?
母:あ…確かあなたちゃんの誕生日の日に階段から落ちたんやっけ?
治:え…
母:アンタ,あなたちゃんが階段から滑り落ちそうになった所を庇って落ちたんやろ?
治:……!
( そう言えば…頭を打ったとしか聞いとらんくて落ちた理由とか知らんかった…… )
母:あなたちゃん,すごい責任感じちゃって…大丈夫や言うてるのに一晩泊まり込みでアンタの傍に居たんやろ?
治:……
( そう言えば俺が目覚めた時……かなり早い時間やったのにツムと一緒にあなたもおった…… )
母:大切にしとったやん。あんま話とかはしてくれんかったけど大切にしとるしお互いすごく好きなんやなってあんま関わらん母さんでもわかったで?
治:……
母:バタバタしとったからプレゼント渡し忘れてたん?最低な彼氏やな〜( 笑って )
治:……うるさいわ
母:…ええ彼女もろたんやから,大切にしてあげるんやで?( 微笑んで )
治:……
治:……
( 部屋で紙袋の中のメッセージカードを開けば あなた,誕生日おめでとう。愛してる。 と書いてあって )
侑:ただいまー…って,何やそれ?
治:……ツム
侑:…?なんや
治:……俺……あなたと付き合ってたん?
侑:……!
治:……俺…紗羅やなくてあなたと付き合ってたんよな?
侑:…思い出したん?
治:母さんから聞いた
侑:( 心の中で舌打ちをして )
治:今舌打ちしたやろ
侑:してへん
治:…で?どうなん?
侑:知らん,本人に聞けばええやろ
治:( ガッと侑の肩を掴み )
侑:!!何やねん
治:……俺はもう今の時点で後悔しとる
侑:……
治:…これ以上後悔しとうないし…あなたを傷付けたくないんや
侑:なら近付かなければええやん
治:それは俺が嫌なんや…!俺は…!!
俺はあなたの事が好きなんや
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!