あなた:( 手を繋ぎ侑を自宅に送っていて )
侑:……
ドーン ドーン
あなた:…!( 見上げて )
侑:…花火始まったな
あなた:…そうだね
侑:…なぁ,やっぱり一緒に見たい( 公園を指差して )
あなた:え…?
- 公園のベンチに座って
侑:意外と見えるやろ
あなた:ほんとだ…綺麗…!
侑:…一緒に見れてよかったわ( 微笑んで )
あなた:…( 眉を下げて )
侑:……ずるいとは思ってんねんで
あなた:え…?
侑:サムが記憶を無くさなければあなたは今頃サムと一緒におった
あなた:……
侑:…あなたが辛いのは分かっとるけど…サムが記憶を無くしたことをいい事に俺はこうやってあなたと一緒に花火を見ることが出来とる
あなた:……
侑:…分からんかもしれんけど,俺今めっちゃ必死なんやで
あなた:え……
侑:サムが記憶を取り戻さない内に…どうやって振り向かせようか…必死なんや,それがこの結果( 笑って )
あなた:……( 眉を下げて )
侑:…あなた,逃げてきてええんやで?
あなた:え…?
侑:…未だサムのことが好きなんかもしれん,俺の事なんて好きやないのかもしれん…でも俺と付き合ってみて少しでも辛さが紛れるとか気持ちの変化があるかもって思うなら…逃げてきてええんやで
あなた:……!
侑:…俺はそこまでしてまであなた,お前を手に入れたいんや
紗羅:綺麗やね…!
治:…せやな
紗羅:…ほんとに思っとる?
治:思っとるで?( 微笑んで )
紗羅:そう?( 微笑んで )
治:……( あなたと侑のことが頭から離れず )
侑:…花火終わったな,帰ろか
あなた:…侑くん
侑:?
あなた:……ありがとう
侑:え?
あなた:…でも…ごめんなさい
侑:……
あなた:…侑くんの気持ちは凄い届いてるよ。ずっとずっと…あたしだけを見ててくれてるの…わかってる
侑:……
あなた:わかってる癖にいつも通りの態度で…あたしずるいでしょ?
侑:…まぁ……
あなた:…だから侑くんの気持ちを利用したり出来ない
侑:…!
あなた:…侑くんのこと…大切だから…傷付けたくないの
侑:あなた……
あなた:…例え今侑くんに逃げて付き合ったとして…もし治くんの記憶が戻ったら……ちゃんと別れた訳では無いからあたしは2人を傷付けることになる
侑:……
あなた:…大切な人を傷付けたくないんだ( 眉を下げて微笑んで )
侑:……どうしたらそんなええ奴になるん?
あなた:え…?
侑:…せやから好きになったんよな( 笑って )
あなた:侑くん……
侑:……気持ちはわかった。でも俺は諦めへんから
あなた:…!
侑:…話してくれてありがとな( 微笑んで )
- 宮宅
母:ほんまごめんな〜迷惑掛けて
あなた:いえいえ…!侑くんお大事にね( 微笑んで )
侑:おー……( 熱が上がったのかしんどそうで )
母:あら治,いいところに
あなた:え?
治:…!なんや( 丁度帰ってきて )
母:この馬鹿( 侑 )が熱出てんのに花火大会なんか行きよって…あなたちゃん送ってきてくれたんよ。治,あなたちゃんのこと送ってきてくれへん?
あなた:え!?あ,あのあたしは大丈…… 治:ええで
あなた:え?
治:…行こか
あなた:え…?あ…
侑:おいクソサム
治:…何やねんクソツム
侑:手ぇ出したら許さへんからな
治:…行くで( あなたの手を引き出ていき )
あなた:…!
母:?あなたちゃんはアンタのやなくて治の彼女やろ?
侑:色々あんねん
母:?
あなた:…ごめんね,わざわざ送って貰っちゃって……
治:ええねん。暗いし危ないやろ
あなた:…ありがとう( 微笑んで )
治:…ツムと付き合っとるん?
あなた:え…?
治:…キスしとったやろ,今日
あなた:え…!あ,あれは事故というか…なんと言うか…
治:え?
あなた:つ,付き合っては…ないよ?
治:…!…そか
( 俺…何で今ホッとしたんや…? )
- あなたの家に着いて
あなた:ありがとう治くん…!
治:ええねん,ゆっくり休み
あなた:うん…!じゃあまた……
治:あのさ
あなた:?
治:…俺はまだあなたのこと全然思い出せてへん
あなた:へ?
治:…けどあなたは思い出さんでええって言うた
あなた:う,うん…
治:…でも嫌や
あなた:え?
治:……俺はあなたのことを思い出したい
あなた:……!
治:……浴衣,可愛ええな( 微笑んで )
あなた:ッ…!( 頬を染めて )
治:…ほなまた明日( 微笑んで手を振り )
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。