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2019/02/01

第5話

#4 友達
始業式の翌日。

あなたは、みんなより早く学校に着くようにしている。
それはある"習慣"があるからだ。

あなたの通う桜南高校(さくらみなみこうこう)は2年前、新しい校舎が完成し、現在、旧校舎はほとんど使われない建物となっている。
その旧校舎には広い美術室がある。
新校舎よりはホコリっぽいが、残っている筆や絵の具、額縁、美術で使われていたであろう銅像や、フルーツのレプリカなど新校舎にある美術室よりもはるかに材料や教材、用品が揃っていた。
その美術室をあなたは、わざわざ朝から旧校舎を使う人がいないことをいいことに、学校に行って美術室に向かい、そのまま時間が許すまで絵を描いている。

学校に着いたら道具を持って美術室に向かい、街の風景の絵を描き始めた。
あなたは、絵を描いている時間が好きだった。
その日によって描くものは違うけれど、目の前にあるものを何も考えず、ただ夢中になって画用紙に描く作業が、色んなことを忘れさせてくれる。
だからあなたにとってこの"習慣"は欠かせない。

窓からの街の風景を描き終え、時計をみると30分が経った。
今日は数は少なかったが、いつもより上手に描けていたので、あなたは満足気に教室に戻った。

 ドアを開けると、いつもと違う風景にあなたは目が開いた。
 そこには、あなたの右斜め前の席に座った転校生の一人、有岡大貴がユニフォームに着替えていた。
彼はこの高校で、サッカー部に入部するという話を、自己紹介の時に話していたが、まさか本当に入るとは思っていなかったので、少しだけびっくりした。
有岡大貴
有岡大貴
おー
めっちゃはやいじゃん
ふうな
ふうな
…ども
有岡大貴
有岡大貴
初対面なのに冷たくない?
ふうな
ふうな
…あんまり、人に慣れてなくて
有岡大貴
有岡大貴
陰キャラってやつ?
ふうな
ふうな
まぁ?
有岡大貴
有岡大貴
友達少なそうだね
突然の言葉にあなたは彼を凝視した。
ふうな
ふうな
…そこまでストレートに言います?笑
有岡大貴
有岡大貴
あ〜ごめん
オレ、結構ド直球に物事言うからさ

そいえばなんて名前なの?
昨日、ホームルーム終わったらすぐ帰っちゃったし、LINEのグループにもいなかったからさ、教えて欲しいんだけどいい?
あなたはその言葉にびっくりした。
クラスのLINEのグループがあるのか?
そんなこと全く知らなかった。
ふうな
ふうな
…野中です
有岡大貴
有岡大貴
下の名前は?
ふうな
ふうな
あなたです
有岡大貴
有岡大貴
あなたか
へぇー、いい名前だね!
ふうな
ふうな
…そりゃどうも
【なんなんだ、この人は。】
先ほどの感情から今度は、何か変なものでも見るかのようなすごく疑い深い気持ちなった。
それと同時に、とりあえずこの教室から出たくなったので、抱えていたスケッチブックを机の上に置いてトイレに行こうとした時、彼に呼び止められた。

有岡大貴
有岡大貴
あ、ねぇ!
もう一個、聞きたいことがあるんだけど
ふうな
ふうな
…なんですか?
有岡大貴
有岡大貴
さっき、友達いないって言ってたじゃん?
ふうな
ふうな
それ、私じゃなくてあなたが先に言ったことで…
彼はあなたの言葉を無視してこう続けた。
有岡大貴
有岡大貴
オレ、野中さんの友達になる!
ふうな
ふうな
…はぁ?
有岡大貴
有岡大貴
だから、オレが野中さんの友達になるって言ってるの
っていうか、なりたい!
びっくりどころか、あなたは呆れて何も言えなくなってしまった。
朝から本当になんなんだろうか。
ほぼほぼ初対面のはずなのに、話しかけられたと思ったら急にバカにされ、挙げ句の果てにはその人と友達になれって?
ふうな
ふうな
絶対嫌です
有岡大貴
有岡大貴
なんで?
ふうな
ふうな
なんか、合う気がしないというか…
有岡大貴
有岡大貴
わかんないよ?
意外に気あったりするかもよ?
ふうな
ふうな
いや…
そこまで断言され、気がひけてしまったのか、少しだけ口が"への字"になった。
何か考え事をした後、急いで自分の机に向かい、紙とペンを出して何やら書き始めた。
なにを書いているのかあなたからは見えなかったが、ペンを置いたあと紙を折ってその紙をあなたに渡した。
ふうな
ふうな
なんですか、これ?
有岡大貴
有岡大貴
オレ、今から部活見学行かなきゃだから、これだけ渡しとこうって思って
紙を開くと、
《 080 2546 3574 有岡大貴》
となぐり書きで書いてあった。
ふうな
ふうな
これって…
有岡大貴
有岡大貴
俺のケータイ番号
何かあったら連絡して。
どこにいても駆けつけるから。
じゃね、また後で!
ふうな
ふうな
え、ちょっと!
そう言った後、教室から出ていった彼の後ろ姿を見た。
その後、強引に渡された紙にもう一度目を落とし、それをリュックサックの1番小さなポケットの中に閉まってあなたも教室を出た。



#4 Fin.

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