-----Your Side-----
結局、総悟と話せることも無く。
夕方になった。
私は、制服を着て見回りのついでに
澪をおばさんの所まで連れていった。
『あなた。元気そうでよかった』
『こっちに戻ってくる気はないのかい』
『そうかい。じゃ、元気でね』
私は、そこでおばさん達とわかれて。
屯所に戻ろうとした。
屯所までの人通りのない道を歩いていると、
カサカサと人の動く音がした。
それも細道の方から。嫌な予感がする。
『貴様、新選組とお見受けする』
『最近、我々の間で噂になっている』
『若いのに武術にたけている女隊員』
『そして、1番隊隊長のお気に入り....とな』
『お前には、人質になってもらおう』
そこまで聞くと、首に痛みが走った。
後ろから吹き矢が飛んできたみたい。あー、
こんなに弱いから総悟はやめろって言ったのかな。
私は、足でまといでしかない。ごめんなさい。
目が覚めると、柱に結び付けられていた。
ついでに言うなら、明るくなっていて。
最悪な朝の迎え方だよ。
お兄ちゃんの夢からの目覚めよりはマシだけど。
『起きたか。暇だろうが』
『すぐ、友達を連れてきてやるよ』
攘夷志士はそう言って、私のそばから居なくなった。
-----Okita Side-----
妹を送りに行ってから、あなたが戻ってこねぇ。
もしかしたら、俺の話と妹からせがまれて。
おばさんの所にでも向かったのか。
そう思って、俺は探そうなんてしなかった。
そう言って、直弘は俺の部屋を出て行った。
たしかに、あいつの言う通りだ。
そんな強い奴だから俺が認めたんだ。
けど、それ以外の理由を俺が作った。
直弘は知らねぇけど。だから、帰ってこねぇんだろ。
俺はそう信じて、他の可能性なんざ考えなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。