第31話

🏢誘拐事件
4,656
2022/03/22 14:19
-----Your Side-----
結局、総悟と話せることも無く。
夕方になった。
私は、制服を着て見回りのついでに
澪をおばさんの所まで連れていった。

『あなた。元気そうでよかった』
『こっちに戻ってくる気はないのかい』
あなた

私は......ずっと新選組にいるよ。

『そうかい。じゃ、元気でね』
あなた

うん。ありがとう。
澪をよろしくお願いします。

私は、そこでおばさん達とわかれて。
屯所に戻ろうとした。
屯所までの人通りのない道を歩いていると、
カサカサと人の動く音がした。
それも細道の方から。嫌な予感がする。
あなた

隠れてないで、出てきなさい。

『貴様、新選組とお見受けする』
『最近、我々の間で噂になっている』
『若いのに武術にたけている女隊員』
『そして、1番隊隊長のお気に入り....とな』
あなた

たがら?

『お前には、人質になってもらおう』

そこまで聞くと、首に痛みが走った。
後ろから吹き矢が飛んできたみたい。あー、
こんなに弱いから総悟はやめろって言ったのかな。
私は、足でまといでしかない。ごめんなさい。
目が覚めると、柱に結び付けられていた。
ついでに言うなら、明るくなっていて。
最悪な朝の迎え方だよ。
お兄ちゃんの夢からの目覚めよりはマシだけど。

『起きたか。暇だろうが』
『すぐ、友達を連れてきてやるよ』

攘夷志士はそう言って、私のそばから居なくなった。
-----Okita Side-----
妹を送りに行ってから、あなたが戻ってこねぇ。
もしかしたら、俺の話と妹からせがまれて。
おばさんの所にでも向かったのか。
そう思って、俺は探そうなんてしなかった。
直弘
直弘
隊長。俺、あなたの事探してきますね。
総悟
総悟
ほっとけ。あいつは多分妹と
おばさんの所に行ったんだよ。
その方が、楽な日々が送れる。
直弘
直弘
あなたは、楽を優先するような性格
じゃないでしょ。それは1番隊長が
知ってるんじゃありせんか?
直弘
直弘
それに、そうだとしても。あなたはヒッソリ
離脱するような性格じゃないですよ。
そう言って、直弘は俺の部屋を出て行った。
たしかに、あいつの言う通りだ。
そんな強い奴だから俺が認めたんだ。
けど、それ以外の理由を俺が作った。
直弘は知らねぇけど。だから、帰ってこねぇんだろ。
俺はそう信じて、他の可能性なんざ考えなかった。

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