第37話

⛴怒り
4,343
2022/03/22 14:21
------Okita Side----
ある日。
今日は1番隊にあなたの姿が見えなかった。
土方に聞いたところ、
他の仕事に行っているらしい。
あいつも大変だな。

夕方。
部屋で寝ていると、ザワザワ騒ぎ声が聞こえてきた。
クレームを言ってやろうと思い、人混みに向かうと。
隊員達が見ていたのは、とっつぁんに担がれた。
血まみれのあなただった。
勲
とっつぁん!
これはどういう事なんだ。
片栗虎
片栗虎
バカか、近藤!今は
そんな事より、処置が先だ。
勲
確かに、みんな、手伝え。
隊員達に部屋まで運ばれて。
直弘や山崎達が怪我の処置をした。
結構深手で。顔色も悪くなっていた。
俺と近藤さんと土方はとっつぁんから事情を聞いた。
なんでも、将軍を庇ってくれて負ったらしい。
こんな仕事だ、怪我する
くらいなんとも思いやしねぇ。
ただ、問題はそこじゃない。
総悟
総悟
近藤さんと土方さんは、
仕事の内容知ってたんですかぃ?
十四郎
十四郎
あー、とっつぁんから聞いていた。
総悟
総悟
なんで、止めなかったんですかぃ?
将軍の警備なんざ、1人で出来る仕事
じゃない事は知ってるはずですよね?
十四郎
十四郎
それは.....。
総悟
総悟
あなたは強いって言っても、
14歳のガキでっさ。そんな奴に、
将軍の警備を任せるなんざ、
頭どうかしてるんじゃありやせんか?
十四郎
十四郎
....最終判断は本人に任せたんだ。
総悟
総悟
そんなの。あいつならやるって
言うに決まってるじゃないですか。
そんな事もわかんねぇんですか?
勲
落ち着け、総悟。
1回頭冷やしてこい。
総悟
総悟
頭を冷やす必要があるのは
2人のほうでぃ。今は、2人の
顔なんざ、見たくないでっさ。
俺は、そう言い残して。
局長室から出て行った。
俺の足が向かったのは、あなたの部屋だった。
そこには、眠るザキと見守っている直弘が居た。
直弘
直弘
隊長。どうしたんですか?
総悟
総悟
いや、なんでもねぇ。
お前もあなたが心配なのか?
直弘
直弘
ま、そうですね。それに、
自分は無力だなと思って。
総悟
総悟
無力?
直弘
直弘
あなたはこんな小さい体で、将軍様を守り
抜いた。かっこよすぎませんか?それに
比べて俺は、何をしてるんだろうなって。
総悟
総悟
それは....俺も同じ気持ちでっさ。
こいつが将軍のためには戦ってた頃、
俺は屯所で、ただただ寝てたなんて。
かっこ悪い通り越して情けねぇ。
自分への怒りと土方と近藤さんに対する怒りで。
俺はその日眠りにつくことが出来なかった。
ただ、ずっと。眠るあなたの顔を眺めていた。

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