……神奈と拓の出会いから1時間後。個性的でワガママなこの男の子の、中二病じみたマシンガントークをただひたすら聞くことに徹した神奈は、どうやってこの男の子から離れようか考え初めていた。
(神奈)……マジでめんどくさい。
神奈がこう思うのに時間はかからなかった。だが、心の深い、深い底で、ほんの少し、"拓と一緒に居るのが楽しい"と思っているのにも、神奈は気付き始めていた。
……前言撤回。コイツはサイテーな自己中男だ。
神奈は、精一杯の勇気と威厳を持ってこう言った。
すると、拓がとたんに慌てて始めた。
懇願する拓を見て、神奈はだんだんおかしくなってきた。そして、渋々ではあるが、承諾した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!