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第50話

5日目-3
神奈の後を追い、数分が経った。
(稲汰)足取りが重そう……いつもは、もっと軽快に歩いてるはずなのに……。やっぱり神奈ちゃんは西内拓の所に向かってると考えて間違いなさそうだな。
ふらふらと、ゆっくり進んで行く神奈の姿は、稲汰が後ろから見ても、どこか痛々しかった。
きっと、神奈もわかっているのだろう。この行動が、無駄になってしまう可能性の方が高いということを。
そして、稲汰も知っていた。神奈にとってこの行動は、やめられることのできないものだと。
稲汰は、そんな神奈を見て、今すぐ引き止めたい気持ちでいっぱいだった。
『拓君じゃなくて、僕が一緒にいてあげるよ!』
──こう、声をかけたかった。
けれど、かけれなかった。
自分のことより拓のことを考えて、一途に拓の姿を追い求める。そんなに思われているのが、どうしようもなく、羨ましかったのだ。
(稲汰)こんなこと考えちゃいけないって、わかってるんだけど……、どうしようもなく、羨ましいんだっ……
心配だけど、羨ましい。羨ましいけど、後ろめたい。後ろめたいけど、……
稲汰の中を、いくつもの感情がループする。湧いては消え、湧いては消え、を繰り返す。
稲汰はその感情を、頭を振り、無理矢理かき消した。
そして気づくと、いつの間にかひまわり畑に着いていたようだ。
神奈は、迷いなくひまわり畑の中心に向かうと、必死で辺りを見回す。……そして、拓がいないことを知ると、膝から土の上に崩れ落ちた。
神奈
ふっ……うぅっ……ぁ……っ……
微かに聞こえてくる、泣き声。 膝からは、微かに血が出ていた。
稲汰は迷った。今、神奈の傍に行くべきか。そっとしておくべきか。
(稲汰)……でも、膝を擦りむいているし……このままだと、バイ菌が入ってしまう。さすがに、行くべき、だよね、、、?
そう理由づけて稲汰が動こうとした、その瞬間だった。
ガサッ
(稲汰)……?
ひまわりの奥で、物音。微かに見えた、黒い髪。
──今でも、なぜそんなことをしたのか覚えていないし、わからない。
いつの間にか稲汰は、音のした方へ走ると、そこに隠れていた人の腕を掴んで、呟いた。
稲汰
西内拓……