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第49話

5日目-2
──泣き出した神奈を泣き止ませる方法を、稲汰は知らなくて。
──知っていたとしても、きっとそれが、稲汰にできることではないと、わかっていて。
稲汰はただ、声を押し殺しながら泣き続ける神奈の背中を、さすり続けることしかできなかった。
(稲汰)もしここに西内拓がいたら……神奈ちゃんは、泣くこともなかったんだろうな……でも、なんで西内拓は、神奈にずっと会っていないんだ?
会ったこともない“西内拓”に、不満と文句を募らせる。
稲汰
……なにか……心当たりはあるの?拓君が、神奈ちゃんに会ってくれない理由。
稲汰がやっと口にできたのは、そんなありふれた言葉だった。それも、
(稲汰)こんなの……もしあったとしたら、もっと神奈ちゃんを傷付けるだけじゃないか……
でも、1度放った言葉は、どう足掻いても取り戻すことは出来なくて。
神奈
それはっ……
神奈はそこまで言うと、俯いて、唇を噛み締めた。
(稲汰)あぁ、やっぱり……。本当僕って、ダメなやつだな……
また1つ、稲汰の後悔が増えていく。
神奈
……ごめんね、なー君。こんなこと、なー君に話してもどーにもならないのにね……。私はもう大丈夫!だから、部屋に戻って?
そう言って顔を上げた時には、神奈は泣き止んでいた。
……が、それは上辺だけだったようで。稲汰には、まだ神奈が泣いているようにしか見えなかった。
稲汰は何か言葉をかけようと、口をパクパクさせる。
もどかしい。うまい言葉をかけられない自分が。
恨めしい。結局なにもできない自分が。
結局、かける言葉が見つからず、
稲汰
……わかった。じゃあ、行くね。
そう言って、神奈の部屋を出た。
~*~
(稲汰)どこに行く気だろう……もしかして、西内拓のところ……?
稲汰が神奈の部屋を出てすぐ、神奈は外へふらり、と出ていった。
何かに引っ張られるようにゆっくりと歩みを進める神奈が心配になり、稲汰は後を追った。
(稲汰)こんなことしたとしても、意味が無いのはわかっているけれど……
何もしないで見ているだけなんてことも、稲汰にはできなかった。