第4話
1日目-3
いつもは小食で、朝ご飯をあまり食べない神奈にとって、今日の朝ご飯は少し多く感じられた。
夜行バスに乗って稲汰の家に来たため、昨日の夜の睡眠も足りず、神奈はうとうとしていた。
時計を見ると、針は8時を指していた。沸き上がる眠気に耐えきれず、まぶたを閉じる。
パチッ
自分を呼ぶ声で目を開けた神奈は、周りの景色を見て、息を飲んだ。
(神奈)ここはどこだろう……?とても大きなひまわり畑みたいだけど……。
声がした方を見ると、幼い頃の稲汰が心配そうに顔を除き込んでいた。
(神奈)もしかしたら、ここは夢の中なのかもしれない……私、あのまま寝ちゃったんだ……
思うように声や体を使えないため、ここが夢の中だと黙認する。
幼い頃の私が稲汰に声を返した。すると、稲汰は突拍子もないことを言い出した。
それを聞いた幼い頃の私は、考える間もなく、
(神奈)このやりとり、どこかで……
そこまで考えたとき、笑顔の2人を残したまま、視界がグニャリと歪んだ。