光のように去っていった沙那を見送ると、神奈は一言、ポツリと呟く。
拓はそれを聞くと、少し恥ずかしそうにしながらも、頷いた。
少しからかうような声音で、拓に言う。
すると拓は、微かに表情を曇らせた。
拓の表情が急に曇ったことは少し気がかりだったが、それ以上に神奈は驚いてしまった。
思わず真顔で本音が出てしまう。あっ、と思ったときには、先程の曇り顔はどこへ行ったのか、拓がお腹を抱えて大笑いしていた。
そこまで聞いて、神奈はふと思う。
(神奈)ん?拓って、ひまわりのツクモガミだったよね?沙那ちゃんが拓と双子だっていうなら、沙那ちゃんもひまわりのツクモガミってこと……?
いつの間にか、拓は笑いがおさまっていたようだ。神奈の顔を伺いながら、拓が控えめに声をかけてきた。
意味がわからない問いに、心の中で首を傾げる。すると拓は、頭をグシャグシャッと乱暴に掻き、苦笑いした。
……全く意味がわからない。質問を変えられても、変えられなくても、それは同じだった。神奈は少し不服ながらも、神奈から見た〝稲汰〟について話し始めた。──
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。