──熱が、伝わってくる。
神奈のものではない〝それ〟は、紛れもなく拓のものだった。
今実際に起きていることがあまりにも信じがたく、神奈の頭はついていかない。
混乱の中で、ただ1つだけわかる、不変の事実。
(拓に……好きな人に、抱き締められてる……!?)
神奈がそれを認識するのと、拓が体を離すのは、ほぼ同時だった。
体の内側から、ドクンッドクンッと、うるさいくらいの音が鳴り響く。
「なん、で……」
神奈がその言葉を紡いだのに、意味はなかった。ただ、自然と、口から零れ落ちた言葉。
「……ごめん」
「俺……もう今日は……帰るわ。」
拓は、神奈の『なんで』という問いに答えることなく。
まばたきの後には、目の前から消えてしまっていた。
残された、神奈。
神奈は、深く息を吸い、1度だけため息をつくと、その場にゆっくりしゃがみこんだ。
(なんで、なんで、なんで……っ!!)
答えのわからない問いを、心の中で繰り返していくうちに、神奈の瞳には、涙がたまっていく。
(なんで、こんなことするの?私のこと、好きでもないくせに!……両想いになれないなんて、そんなのわかりきってるから。このままの距離でっ、このままの距離のままで一緒にいた方がいいのかなって、思ってたのに!)
ポタッ
──一粒。
ポタッ
──また一粒。
ポタポタッ……
──次からは、とめどなく。
瞳にたまっていた涙が、溢れる。止まらない。
(……勘違いさせるようなこと、しないでよ。私がバカみたいで、本当に嫌になる。こんな気持ち、ずっと抱えてるぐらいなら、私、拓のことなんかっ)
(嫌いよ……)
「大好きっ……」
ひまわりが、神奈のその姿を隠すように、優しく覆い被さって。
神奈から溢れた雫が、太陽の光を反射して。
ひまわりと太陽の光に包まれながら、神奈はしばらく、泣き続けていた。
──熱が、伝わってくる。
神奈のものではない〝それ〟は、紛れもなく拓のものだった。
今実際に起きていることがあまりにも信じがたく、神奈の頭はついていかない。
混乱の中で、ただ1つだけわかる、不変の事実。
(神奈)拓に……好きな人に、抱き締められてる……!?
神奈がそれを認識するのと、拓が体を離すのは、ほぼ同時だった。
体の内側から、ドクンッドクンッと、うるさいくらいの音が鳴り響く。
神奈がその言葉を紡いだのに、意味はなかった。ただ、自然と、口から零れ落ちた言葉。
拓は、神奈の『なんで』という問いに答えることなく。
まばたきの後には、目の前から消えてしまっていた。
残された、神奈。
神奈は、深く息を吸い、1度だけため息をつくと、その場にゆっくりしゃがみこんだ。
(神奈)なんで、なんで、なんで……っ!!
答えのわからない問いを、心の中で繰り返していくうちに、神奈の瞳には、涙がたまっていく。
(神奈)なんで、こんなことするの?私のこと、好きでもないくせに!……両想いになれないなんて、そんなのわかりきってるから。このままの距離でっ、このままの距離のままで一緒にいた方がいいのかなって、思ってたのに!
ポタッ
──一粒。
ポタッ
──また一粒。
ポタポタッ……
──次からは、とめどなく。
瞳にたまっていた涙が、溢れる。止まらない。
(神奈)……勘違いさせるようなこと、しないでよ。私がバカみたいで、本当に嫌になる。こんな気持ち、ずっと抱えてるぐらいなら、私、拓のことなんかっ
(神奈)嫌いよ……
ひまわりが、神奈のその姿を隠すように、優しく覆い被さって。
神奈から溢れた雫が、太陽の光を反射して。
ひまわりと太陽の光に包まれながら、神奈はしばらく、泣き続けていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!