第47話

4日目-8
47
2020/08/09 04:00
──熱が、伝わってくる。

神奈のものではない〝それ〟は、紛れもなく拓のものだった。

今実際に起きていることがあまりにも信じがたく、神奈の頭はついていかない。

混乱の中で、ただ1つだけわかる、不変の事実。

(拓に……好きな人に、抱き締められてる……!?)

神奈がそれを認識するのと、拓が体を離すのは、ほぼ同時だった。

体の内側から、ドクンッドクンッと、うるさいくらいの音が鳴り響く。

「なん、で……」

神奈がその言葉を紡いだのに、意味はなかった。ただ、自然と、口から零れ落ちた言葉。

「……ごめん」
「俺……もう今日は……帰るわ。」

拓は、神奈の『なんで』という問いに答えることなく。
まばたきの後には、目の前から消えてしまっていた。

残された、神奈。
神奈は、深く息を吸い、1度だけため息をつくと、その場にゆっくりしゃがみこんだ。

(なんで、なんで、なんで……っ!!)

答えのわからない問いを、心の中で繰り返していくうちに、神奈の瞳には、涙がたまっていく。

(なんで、こんなことするの?私のこと、好きでもないくせに!……両想いになれないなんて、そんなのわかりきってるから。このままの距離でっ、このままの距離のままで一緒にいた方がいいのかなって、思ってたのに!)

ポタッ
──一粒。

ポタッ
──また一粒。

ポタポタッ……
──次からは、とめどなく。

瞳にたまっていた涙が、溢れる。止まらない。

(……勘違いさせるようなこと、しないでよ。私がバカみたいで、本当に嫌になる。こんな気持ち、ずっと抱えてるぐらいなら、私、拓のことなんかっ)

(嫌いよ……)
「大好きっ……」

ひまわりが、神奈のその姿を隠すように、優しく覆い被さって。
神奈から溢れた雫が、太陽の光を反射して。

ひまわりと太陽の光に包まれながら、神奈はしばらく、泣き続けていた。















──熱が、伝わってくる。
神奈のものではない〝それ〟は、紛れもなく拓のものだった。
今実際に起きていることがあまりにも信じがたく、神奈の頭はついていかない。
混乱の中で、ただ1つだけわかる、不変の事実。
(神奈)拓に……好きな人に、抱き締められてる……!?
神奈がそれを認識するのと、拓が体を離すのは、ほぼ同時だった。
体の内側から、ドクンッドクンッと、うるさいくらいの音が鳴り響く。
神奈
神奈
なん、で……
神奈がその言葉を紡いだのに、意味はなかった。ただ、自然と、口から零れ落ちた言葉。
拓
俺……もう今日は……帰るわ。
拓
……ごめん
拓は、神奈の『なんで』という問いに答えることなく。
まばたきの後には、目の前から消えてしまっていた。
残された、神奈。
神奈は、深く息を吸い、1度だけため息をつくと、その場にゆっくりしゃがみこんだ。
(神奈)なんで、なんで、なんで……っ!!
答えのわからない問いを、心の中で繰り返していくうちに、神奈の瞳には、涙がたまっていく。
(神奈)なんで、こんなことするの?私のこと、好きでもないくせに!……両想いになれないなんて、そんなのわかりきってるから。このままの距離でっ、このままの距離のままで一緒にいた方がいいのかなって、思ってたのに!
ポタッ 
──一粒。
ポタッ
──また一粒。
ポタポタッ……
──次からは、とめどなく。
瞳にたまっていた涙が、溢れる。止まらない。
(神奈)……勘違いさせるようなこと、しないでよ。私がバカみたいで、本当に嫌になる。こんな気持ち、ずっと抱えてるぐらいなら、私、拓のことなんかっ
(神奈)嫌いよ……
神奈
神奈
大好きっ……
ひまわりが、神奈のその姿を隠すように、優しく覆い被さって。
神奈から溢れた雫が、太陽の光を反射して。
ひまわりと太陽の光に包まれながら、神奈はしばらく、泣き続けていた。

プリ小説オーディオドラマ